人になる

２

　春野が懸命に考えてるみたいだが、そんな簡単に答えが出ないだろう。テレビでも緊急で各局が著名人や学者を招いてあーだこーだとやっている。20万のうち降り立ったイナゴが多いところほど眠った動物が多いことに気づいてバッタ病原説を唱え出すものもいる。バッタだったりイナゴだったりだが。あながち間違ってはいない。
　喋りながら歩いていたら、前から来たＯＬが急に崩れ落ちた。春野と二人で持ち上げ安全そうなところに座らせた。
「富士田さん、もう寝てますよ、この女(ひと)。救急車呼びます？」
「呼んだところでこの状況では救急車も出動できないよ。眠ってるだけだし」
　非常時ととらえられ公立の小中学校は自宅待機なはずだが、結構遊んでいる子どもたちがいて、その何人かの肩を叩きながら声をかけた。
「家にいなきゃいけないんじゃないか？　ほら、帰った。帰った」
　そして、小さくつぶやく。
「みんなをヨロシクな」
　オレが連れてたフネンは全て跳び移った。