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 テレビでは世界規模でイナゴの大群が現れたと大きく取り上げられ話題になっている。そのバッタ型の宇宙船(ふね)でやってきたのはオレの星の仲間たちだった。オレたちフネンがバッタ船1000機にそれぞれ100個体だから、およそ10万、この国に降ってきたことになる。  10年前オレは偵察隊の一人としてこの国に降り立ち、調査を兼ねいろいろな人の中で暮らした。小学生から社会人まで、男だったり女だったりして、この1年は富士田として過ごした。  同時に着いた、もう1000機にはフネンと見た目は同じだが、少し違う個体シリもやってきている。つまりこの国に2種、計20万、世界中に20万ずつ、結局どのぐらいが降り立ったのかオレにはわからない。そのうちイナゴの大量の死骸を見つけたというつぶやきが集計されれば、だいたいのことがわかるかもしれない。バッタ船は見えてもオレらが見える人は滅多にいないから何が起きているのかわからないはずだ。  偵察隊はオレたちフネンのみの構成だった。シリがメンバーになれないのには理由があった。
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