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捕獲完了
「ただの鬼ごっこのはずなのに……いなくなろうとするなんて許せない」
――私を包むように壁に手をついた彼が怖い。
逃げ道はとうの昔に断たれて何もできないというのに彼は私を閉じ込めんばかりに顔を近づける。
「ねえ、俺を裏切って楽しかった? それとも喜んでたの? 馬鹿だなあ。そんな甘い考えなんてお見通しに決まってるじゃない」
ゾクリとする程美しい笑みを浮かべた唇と冷たく私を責めるように光る瞳。
そのアンバランスさに恐怖を感じながらも何かを言い返すため口を開こう……としたのだがその言葉は彼の唇によって飲み込まれてしまった。
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