エピローグ ー 青い目の人形計画

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エピローグ ー 青い目の人形計画

ぼくは家へ帰ってから冷蔵庫を覗いてみました。 からっぽの冷蔵庫の底には、青い目の人形に貼りついていたと思われる、人形の『製造番号』と『製造目的を知らせる簡単な文章』が西の国の言葉で記されている小さな紙片が数枚落ちていました。 ぼくは、やさしく誰にでも分かるように書かれた横書きの文章に感謝しつつ、皆さんに紹介できるのを誇りに思います。     『Friendship Dolls Project---青い目の人形計画』   ぼくは始めて、戦時下の食料調達の一手段として、西の国で研究、開発された『青い目の人形 -- または、友情の人形計画』の存在を知りました。 対象は、戦争になれば食料不足で、飢えの影響をまともに受ける子供たち。 その子供たちが、“緊急時の食料” を他人に奪われることなく、常に手元に置いておける状態を考慮して開発されたのがこのプロジェクトでした。 計画には、肉類などを徹底的に、圧縮、殺菌、軽量化し、長期保存に耐え、そのままでも食べることが出来、また簡単な調理で原寸に戻すことが出来る研究の成果が籠められていたのです。 その成果は、人形の体内に納められていて、万一の場合には背中を剥がして食料を取り出すことができます。一個の人形で一週間分の、肉を主とした食料を調達できるのです。  試作段階で抜群の効果を上げたそうです。 西の国で500個が製造され、この製品特有の『製造番号』が振られて、その第一陣約300個が、他の一般の「青い目の人形」と共にこの島国の小学校に向けて出荷されたのです。 なぜこの国の小学校に真っ先に贈られたのでしょうか。 西の国の研究者と協力してこのプロジェクトを推進した責任者の一人に、この島国の美しい女性がいたことが、現地の文書にはっきりと記録されています。 戦乱の匂いが立ち込め、雲行きのあやしくなった島国のために、この女性の配慮で、島国の小学校に優先的に配布されたのです。 しかし、島国の軍部が、子供たちへの贈りものを体内に納めている「青い目の人形」に対して破壊命令を出すことまでまでは考えに入れていなかったようです。 (終わり)
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