第三話 ファーストアルバム

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「す、すみません、これ、蒼井さんからメール」 みんなが覗き込んだ。 【え―――――‼】 「キヨ君何処?」「事務所じゃねえ」 あわてる私たち、それを仁王立ちで制したのは健ちゃん。 「こら、今はダメ!」 健ちゃんが怒った。 「今日はこっち、みんなも何やってんの、そんなの後々」 【はーい】 「ヘイヘイ、健ちゃんキャラ違うよな」 「何か言った?」 「何でもなーい」 本村先輩がみんなの寄せ集めで作ったもの三曲を披露、直しを始めた。 インストロメンタルは社長にお願いすることにした。 「当たって砕けろってか」 「でもピースの曲だったら社長からの方がいいだろ」 「まずはお願いしてみないとね」 昔の曲、叔父とさよ子さんがいた頃の最初の曲、インデーズデビュー、OKをもらう。 「これ使ってもいいの?」 「あいつらには、言っておく、どうせ、直さなきゃいけないしな、新しい曲か、原点・・・少し時間くれないか?」 「それって、いいんですか?」 「久しぶりにちゃんとしたの作ってみるよ」 【よろしくお願いします】 「あのー?」 「キヨの事だろ?」 「うん、さっき聞いて、びっくりした」 もっと前でもよかったと、あの事故以来、住ちゃんを支えたのはキヨ君だった、そして、いつの間にか、二人は愛を育んでいた。新しい家を建てるときさよ子さんには聞いていたが改めて聞いたものだから驚いた。  一週間後、何とかみんな顔を合わせた。メールやラインで情報交換、みんながそれぞれ練習をしていた、残りの三曲も出来上がり、後は社長の曲だけとなった。 「アキラさんからの了承はもらった、使っていいそうだ!」 とりあえずやってみる、最初に作った五曲 ―お疲れ、どうだ 聞いたことのある声で中に入ってきたのは牧さんだった、ブースの機械をいじりながら中をのぞいている。 「お疲れ様です」「お久しぶりです」 ―オー、五人そろってるね 「あの、牧さん、お時間ありますか?」 ―ん、一時間ぐらいかな 「ねえ、録って貰おう、こんなことないからさ」 「そうだな、録るのだけでも頼みませんか」 ―何、どうしたの 「あの、社長忙しくて、出来れば牧さんお願いできませんか?」 ―いいよ、録ってやるよ 「よっしゃー、先輩やりましょ」 「やろ、蒼井のから、一曲やります、お願いします」 バタバタと準備して、曲を聴いてもらい本撮りをしてもらう。
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