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第一話 約束
白いカーテン、真っ白い部屋、大きなベッド、夢だったんだよな一人・・・暮らし・・・!
目覚ましがけたたましく鳴り響き、手を差し出した。
ん?誰の手?
「起きたか、おはよ」「んーもう朝かよ」
えー!えー!!!!!
誰このイケメンは、こっちは、原君?こっち誰?
「メガネ、メガネ、あった、ん?知佳、どうした?」
川上君?こんないい男だったけ。
「どうしたって、何であんたたちここで寝てるのよ?」
「どうしてって、憶えてねえのかよ?」
「おはよー」「みんなはえーな」
ベッドの下から顔を出したのは?って、あゆみ!つよしくん!?
「なに、どうしたの?」
アハハハ
「今日日曜だから泊まってって言ったの知佳ちゃんだよ、もうこうして会う事もないからって」
「地味にお前んとこの引っ越し手伝ってる俺の事も考えろって、まだ片付いてねぇんだからここにいろったのお前じゃんかよ」
すみません、憶えていません、と謝った。
「まったく、だからアルコールなんか入ったの買うなっていったのに」
「面白そうだから買おうって言ったの優ジャン」
扉が開いて顔を出したのは田村さんだった。ビニル袋からパンや牛乳を出している。
「ハイハイ、そこまで、朝ご飯食べたら、知佳ちゃんと優君はバイト、あゆみちゃん達は、原君の所片付け、原君は、十時には教室!ほら、さっさと動け!」
合格発表から二日後、私と原君は叔父に呼びだされた。
「二人を呼んだのは、これからのことを話しあおうと思ってね」
「これからですか?」
「そう、これを見てくれ」
店の事務所に呼ばれた私と原君。目の前に何冊かの通帳が並んだ。私は自分の名前の物を取り開いた、目を疑った。中学一年から、ここで手伝ってきた、バイト代は、一度ももらったことがない、小遣いとして、月に中学の時は五千円、高校に入ってからは一万円もらっていた。渡された通帳には、千円から五万円の入金、泊まり込みの時や、忙しい休日出勤、金額にばらつきがあるのはそのせいだと言われた。涙が出た。
そして、原もまた、母親から預かった通帳は手が付けられることなく、アルバイトでもらった金額が毎月入っていた。
「いいか、二人ともここを見てほしい」
そういわれたところ、おととしの七月から急に金額の桁数が違う
「これ何?」「あ、俺も、気が付かなかった、明細、見もしねえで母ちゃんに渡してたから」
ここはピース、ここはフェイク、お前たちの報酬だ、レコード会社からのな。
「去年の五月から、俺スゲーことになってるけど、これは?」
PVの企業の売り上げ、CD売り上げ、雑誌からの報酬、その他もろもろ。
「俺こんなに稼いでる、一、十、百、千、万、うそ!車何台買えるんだ?」
お前たちがこんなに稼いでいるという事は税金やなんかで親たちが大変になるんだ、それで、原のお母さんは俺に預けた、会社でやってもらった方が楽だからな。
「稼ぎすぎも問題なんだ」「そうだ、国にがっぽり持って行かれるからな」
「確定申告でテレビに出る人って結局」
「そういう事だ、稼いだら稼いだ分、持って行かれる」
「ウソー、エー、そんなの有りかよ」
「有なんだ」
そこで、お前達から要望のあった一人暮らし、独身者用の方は空いてない、当分上の階を使ってもらう。
ウソ、あの広い方?いいんですか?の原君の問いに私は叔父を見た。
「その代わり、家賃はしっかりいただく」
「家賃に、学費、光熱費、食費、エーどんだけかかるんだ」
「原、親の所から通った方がずーっと楽だぞ」
「一人暮らしが夢だったのにー。もう!」
「私もどうしよう、いくら免除でも、入金六月からだし」
「そこでだ、こっからが本題だ」
会社の中に企画部を設け、そこの社員として入社、保健や、税金など、会社側で見てもらう、管理は親ではなく、もう一人の大人として自分で行うという事。
代表取締役に叔父、副社長にさよ子さん、統括部長としてキヨ君、お店の店長は田村さん、
教室の方を内田さん、ビルの方に、企画部を置き、大森さんが課長、そして私たちはその第一号の企画商品となる。
「商品ね」「物みたいでいやだね」
「でもな、お前らの稼ぎで、俺らは食べさせてもらうことになる、お前らがこければ、俺らも路頭に困る」
「脅かさないで、お店があるのに」
さて、どうする、お前たちは大人の仲間入りをした、別の事をしてもいいし、会社も自由に選べる、ここから出れば、教室や店、事務所でこき使われる心配もない。
そうか、牧さんから頂いた、スタジオミュージシャンとしての第一歩の話は・・・ここから私の将来が始まる。
「私はここがいい、叔父さんじゃない、社長、お願いできますか?」
「俺も、お願いします、くいっぱぐれがないのならここで社員になった方がいい」
差し出された契約書は二枚、一枚は、レコード会社だ、寮への入居届、同意書、親とちゃんと話し合ってサイン貰ってきてくれといわれた。
知佳は打ち合わせのために新ビルへ向かおうとした。
「俺、社長と話あるから先に行ってて」
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