第一話 約束

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「原、Bスタ入れ!」 「きよさん、マネージャー付けてよ」 「ダメだ!」 「知佳ちゃ~ん、1スタ押してるってよ」 「ウソー、そんな―、大森さーん、マネージャー付けてよ、これじゃあ、学校行けない」 「贅沢言わない!」 入学して一週間、説明会やなんやかんやでやっと落ち着いて授業を受けられるようになりそう。 スケジュール帳には、私と原君の分、ハア、何とか管理していかなきゃな。 「何スケジュールとにらめっこしてんだ」 「あんたがしないからでしょ」「いや。俺、無理だし」 ―ねえ、あの人、健一? ―隣って知佳だよね ―キャー、本物! 遠巻きにみんなが見ている。後ろの席だとうるさいから前に行こうと二段目へ座っていた。 「すごい人気、健在ですね」「お前もな」 「隣、いいすか?」 色黒で短髪の体育系の男子が隣に座った。 ―何―、隣座られちゃった ―早く行かないからよ ―彼女いいな ―あいつ彼氏か 周りからヒソヒソと話す声が聞こえる。 「お宅ら芸能人?」 「違うかな」「でもちかいかもミュージシャン?」 「わかんね、なんて言ったらいいのか」 「ふーん、でも、音楽科だから、ミュージシャン、そうだよな、知佳、健一って言うの?」 「山田知佳です」「原健一」 「俺、蒼井(あおい)祐(ゆう)よろしく」「よろしく」「ども」 「なんかサークル入った」「無理、忙しくて」「私も」 「バイト?」「まあ、そんなとこ」 「ふーん、お宅ら夫婦?」「違う違う」 私の首に腕が巻きつく 「そ、俺の女、将来はそうなる」「またそんなこと」 「オー言い切るか」「手だすんじゃねえぞ」 「オー怖、まあこれから四年もあるさ、知佳ちゃん、よろしく」 「ハア、よろしく」 四年か、長いな。 そうだね、これからどんなことが起るんだろ。 ―そうだな、まずは今日から打ち合わせか?場所、わかる?青山だろ、行けばわかるさ。 「お前ら、何もん?」 「んー、言ってもいい?」「ダメよ」 「まあ、おいおいわかるかも」「なんだそれ」 「あ、先生来た」「初講義ですっと」
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