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「あ、来た来た、小野ちゃ~ん」
誰?と聞かれ首を振った。どっかで見たことあんだけどなー忘れた。
お久しぶりです。と言った男性は、あの大変な時期に風邪をひかせてしまい、申し訳ありませんでした。と言った。ブラブラのマネージャーさんだというのに気が付いた。メガネをかけちょっと頭の薄い優しい感じのおじさんと言った感じ。でも実はやり手で、この業界では知らない人はいないらしい、そんな引く手あまたの彼がなぜここにと思ったけど、ピースのみんなが絡んでいるとなると何となく納得してしまう。
「秋山企画へ入社いたしました、これからはお二人の管理をさせていただきます、よろしくお願いします」AアンドRアーティストの発掘・契約・育成・を担当、三十八歳の小野さん、凄腕の人が来た。
【よろしくお願いします】
「小野さん、こいつらビシビシやっちゃってください」
「はい分かりました、お任せください」
にまっと笑うキヨ君の隣でそう言い放つ彼の眼鏡の奥で目が光ったような気がして、背筋がゾワッとした。
「よーし、それじゃあ、決定という事で」
「えー」「まじかよ」「大丈夫です、お二人のスケジュールはできてますから」
「キヨさん、まじでいいんですか」
「お前ら出たいんだろ、出ればいいじゃんか、稼げ、くいっぱぐれねえようにしたいんだろうが、原、お前らは、もう商品なんだ」
「商品ね、ハイハイ」
「よっしゃー、じゃあ、これで行くわよ、後はキヨ君、小野ちゃんに任せるは、はい、あんたたちは向こうで打ちあわせするはよ」
ヘイ、ヘイ、じゃあな知佳、原君。またね!おつかれ。手をピラピラフって三人は別の所へと行った。
こんなにも早く次の仕事?が動き出すなんて、少しはキャンパスライフを味わえるなんて思っていたのが早くも打ち砕かれた。
「そんなに簡単に行かねえわな、商品」
キヨ君、なーんか考えてそうで怖くなってしまった。そして、初めてのコンサートに向けて動き出す。
体調管理、ハア、またみんなに迷惑かけないようにしなくちゃな。
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