第三話 ファーストアルバム

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事務所に入ると叔父が座っていた、私と健ちゃんとまー君とが椅子に座った。新しい住宅の話だった。来年の三月、新入社員が入ってくる、そのため、今入っている人たちの移動が始まる、そこで、新居への移動を開始してほしいと。 「ヤッター、新しい家だー」 「おじさん、俺も手伝うからバイト代ください」 「まー、お前、休みは?」「もう卒業だもん、休み長いし」 「そうだな、頼むか」「やり―、姉ちゃんとこは、何なら全部やってやる、バイト代くれれば」「はい、はい、そのときね、今から準備はじめるか」 「知佳、書類書いて、みんなに渡してくれ、部屋割りは後で言うから」 「お、そうだ、そんなこともせねば」 「係長も大変だね、俺やろうか?」 「いい、あんた直ぐかねって言うから」 「兄妹も大変だな」 「あんたは曲の方頼んだわよ」「オー、俺も忙しいんだ、行くわ、じゃあな雅之」 「晩御飯サーちゃんとこだよ」「わかったー」 「私も行くね、後よろしく」「うす」 久しぶりに家族で叔父の所へお邪魔した。 「へーじゃあお母さん所でバイトするんだ」「店長さんに頼まれた」 「受験はもういいの?」 「あのですね、あんたより出来がいいの、推薦だよー、問題さえ起こさなければいいんです、だからバイトに精を出す」 「まあ、このままでいいわ、ただ、お姉ちゃんにお金出してもらうんだから甘えないことね」 「わかっております、お義兄さん、よろしく」 「まあ、そうなるか、中退だけはすんなよ」 「わかってます、俺、銀行員になるから、そしたらお金は俺が管理する、ね、さーちゃん、よろしく」 「それは翔に言って、私は自分の方の管理を任せるから」 「オッシャー」「まあ、その時までつぶさないように頑張るか」 「まー君が銀行員になるころにはどうなってるのかしらね」 「将太が小学校だな、野球教えてやるよ」 「いらない」「なんでだよ」 「知佳ちゃんにギター習うんだ」 「ワー、姉ちゃん予約かよ、やめとけ、野球の方が面白いぞ」 「アハハハ、遊びたきゃ野球の方がいいのかよ、同じじゃねえか」 「それでもあんたたちは運がいいのよ、音楽みたいな水物で食べていけるんですもの、ねえ、翔君」 「そうですね、これから先何が起きてもお前らはこの世界で食っていける、後はどうやって維持していくかだな」 「そうね、まずは一年、知佳ちゃんも原君もしっかり頑張って卒業しなきゃ」 「御金稼ぐのもいいけどそっちが重要、留年なんかしないでよ、奨学金貰って留年なんていやよ」 「お母さん、心配しなくて大丈夫、単位はしっかり稼いでるから」 「義兄さんも姉ちゃんのおもりで大変だろうから、いつでも手伝いに来るから言ってね」 「うー、いい弟だ!」 「あんまりおだてない方がいいよ、しっかりこづかい貰おうって魂胆見え見えだもん」「しっかり小銭稼いでやる!」 「ここにもいた、キヨさんの弟子」「アーそうだ、キヨ君結婚したの?」 「そう、やっとしたのよ」「何で教えてくれなかったの?」 「内緒にしてくれって言われたのに、あの子自分で言っちゃうんだから」 「おめでたいわね、清隆君もこれで落ち着けるわね、お祝い何がいいかしら」 「お祝い上げるの?」「当たり前でしょ、あんたどれだけ世話になったの」 「私貰ってない」「あんたはいいのよ、さよ子さん聞いておいてくれる?」 「はい聞いておきます」 そろそろ帰ると言って母が立ち上がり、雅之も立った、将太が抱きつく 「またくるからな、ごちそう様でした」 「バイ、バイ―おやすみなさい」 「しかし、よく寝るなー」「こんなにうるさいのにね」「翔二はねんね好きなの」 「将太も平気だったもんなー」「夜泣きはまだしてないの?」 「こんだけ寝てるけどまだしてないな」 「そう、よかったね、翔二君はよくできたこでちゅねー」 また、男の子だった、さよ子さんは女の子がほしかったみたい、それでも、元気ならばいい、この先、幸せであれば。叔父たち夫婦の幸せな家庭、手本にしなくちゃな。
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