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「すごいね、あと二か月でここに入るんだね」
「俺たちの家か」「我が家か」
店の前の駐車場からマンションを見上げた。
「そろそろかな」「うん、そろそろかもね」
「え、いいのか?」「え、何の話し?」
「あ、いや、お前は何がそろそろなんだよ」
「もう一年で卒業だから、そろそろほしいのかなーって」
健一は抱きしめた。
「知佳、んーやっぱりお前はすごい、俺、頑張るから」
「なに、なにー頑張るって」「頑張る」
おーい、お二人さん、そこですんなよ
はよこい、風邪ひくぞー
いちゃいちゃするの部屋でしてくれ
「あは、怒られた」「ここ丸見え、まあいい、あいつらに見せつけちゃるー」
痛い、痛い
抱き合う二人、まだ店の明かりはついていて、教室の明かりもついている、駐車場には車はない、まるで私たちだけにスポットライトが当たってるみたいにきれいだった。
十二月一日、ファーストアルバムが販売された。PVは二週間前から発信が始まり、好評だ。さすがに、モデルバリの四人、かっこいい、デビューした時に作ったポスターを川上君は売りに出した。Tシャツや小物を作り、それも売りだした。それが売れるのだから、彼はほんとにすごいと思う。
柿田さんの所も順調な出だし。着実に動きはじめた。
フェイクのツイッターに、兄弟分としてトシさんがかきこんだ、ヴァ―ズの事を、そしたらファンにファンクラブはどうしたらはいれるのかと言う書き込みが増えてしまったと川上君に連絡が入ったのだった。
「なあ、優、俺らもした方がいいのかな」
「やってみるか、俺、オフィシャルファンクラブ作ってやろうか」
「そうだな、本村さんに聞くわ」
「じゃあ、デザインまかせてくれる」
「え、いいのかよ」
「うん、やってみたかったんだそういうの」
「いいな、お前夢がいっぱいあって」
「お前だってそうだろ、夢だものいっぱいあっていいんじゃねえの」
「お、さよ子辞典」
「健一、ちょっと出かけないか、俺頼みたい人がいるんだ」
「なにをたのむんだ」
「ファンクラブの会長」
会長?
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