第二話 新しい出会いと上級生

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なあ、さっき聞いたんだけどお前らテスターのバックやったんだって? 正確にはテツさんのソロアルバムだけどな。アルバムに参加させてもらっただけだから。 「ウソー、マジで、じゃあこれも誰かのに参加するためのか?」 「違うの、これ、内緒にしてくれる?」「知佳言わなくていい」 「何、原君、隠さなくてもいいじゃない、なんかの時は協力するよ?代替えとかさ」 「それマジ?」「うん」 「ほんとだな、内緒にできるか?」「うん」 「じゃあ、耳かせ」 ―俺ら、ピースのライブに出る 「えー!」「しー!」「ウソ、マジかよ、いつ」 「夏休み中、ドームツアー」「キエー。すげー、俺もいきてー、生(なま)聞きてー」 ザワザワ、急に食堂の中がざわめきだした。 背の高い、派手な顔のイケメン二人が寄ってくる、それに気が付いた人たちが遠巻きに私たちの事を言っているのが聞こえる。 一人は、少し長めの髪にウエーブがかかっていて、そう、どこかトシさんに似ているような雰囲気、もう一人の人は、身長の割に顔が小さくて、アイドルみたい、かわいい顔をしていて、もてそうな二人だ。 「誰?」「確か三年生だと思う」「蒼井君、知ってるの?」 「いや、でもそうだと思う」 なあ、さっき、講堂来てなかったか?うん見た気がする。とこそこそいっている。 「ちょっといいかな」 と言って空いている椅子を引き寄せ座った。指差すように、一人一人の名前を言うロングの髪の人。 「知佳ちゃん、俺君のファンです、後でサイン頂戴」 こっちはアイドル? 「はあ?はぁ」 「唐突ですまないんだけどさ、俺らとバンド組まない?」 「無理です!絶対ムリ!」 「えー知佳ちゃんからちょー拒絶」 「すみません、俺ら、時間がなくて、すみません」 テーブルに広げてあるスケジュールをひきよせて見る。それを奪い取るように原君は引き寄せた。 「へー、すごいな、徹底管理か、さすが売れっ子だね」 「ほら、やっぱり無理だって」 「でもこれ、十月以降はまだないじゃん、暇な時だけでいいんだけどさ」 「すみません、先もまだ入る可能性が」 「俺ら、バイトもしてるんで、ほんとに、時間がないんです、すみませんが」 「そっか、でも、やりたくなったら声かけてよ、俺菅谷(すがや)ナル、こいつ本村(もとむら)高史(こうし)三年、蒼井君もさ、気が向いたら声かけて、じゃあね」 「よろしく」 黄色い女子の歓声が上がる、まるで、芸能人のように手を振って出ていく二人。 「あいつら何もん?」「さあ、先輩に聞いてみるわ」 蒼井君てさ、学校の中の事とかよく知ってるけど、何で詳しいの、その先輩って言うのもどういう関係? シェアハウスに住んでいる、二年の先輩と相部屋、それに、ここの美術科がもう一人いる。 あの二人の事聞いてほしいと健ちゃんが頼んだ。 「興味あるの?」「興味ねえ、あるのかなぁ?」 「まあ、聞くのは簡単だけどね」 私は無理をするなと言った、わかるような気はするのだが。 「なあ、アルバイトって何してるんだ?」 俺達は社員として働いている、このスケジュールもそのためのもの。 彼は驚いていた。学生で、事業起すやつっているって聞いてたけど、社員てか、就職しながら学生か、すげーんだなと言う。 「俺もバイト見付けねーとな」 え、アルバイト探してるの? 「上京してすぐにバイトはじめたんだけど、飲食店、俺むかねえんだわ、のど痛くてさ、大きい声も出さなきゃいけねえし、後、煙草、ダメでさ」 携帯をだし、どこかへ掛けはじめる知佳。何処に掛けてるんだ、覗き込んだ?川上? 「もしもし、おはよう、あのさ、アルバイトってまだ募集してる?うん、うん、交通費って出るの?うん、わかった、ありがと、蒼井君、私たちの会社でバイトしない?」 「あ、一人辞めるんだ、俺ら、楽器店に務めてるんだ、いろんなことやってて、結構ハードな時もあるけど、どう、来てみる?」 「楽器店、俺楽器何にもできないし」 「関係ない、専門的なことは私たちもいるから」 店の場所、仕事の時間帯、時給、交通費は出してくれる。 「一度見学に来る?」 「うん、行ってみようかな」 「はい、じゃあ、これ、俺の名刺渡しておくわ」 「株式会社、秋山楽器店、企画部へ―スゲー、明日休みだし、行ってみようかな」 「もしもよかったら、履歴書も持ってきなよ、少し、こじゃれた格好して」 「そうだな、いろんなところに出るのもいいかもな、よし、明日にでも頼む」
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