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「しかし……太郎のやつ遅くないか? お嬢のこと、部屋につれてっただけだろ?」
「そういえば……何分経ちました?」
「20分は過ぎている」
「遅すぎねえ?」
「何やってるんだ、あいつ? まさか……」
「いや、それにしては何も音がしないぞ」
「一緒になって居眠りに100万ポイント」
「……そのポイントをゲットすればいずれ何に使えるんだい?」
「俺の感謝の気持ちと言葉かな」
「ほぅ……いらん」
「まぁそれはともかくとして……ちょっと見に行った方が良くないか?」
「治朗、ちょうどいいから行けよ」
「いや、もし万が一その……いい空気だったら、治朗には荷が勝ちすぎるのでは……?」
………………
「俺しかいないってか?」
「そうですね。三郎なら『スマン』の一言でうまく逃げてくれるでしょうし」
「三郎、頼んだ」
「俺は……また……」
「ハイハイ。治朗は俺たち酔っ払いの相手をしてちょうだいよ」
「じゃあちょっと行ってくる」
「あら、どちらへ?」
「うわ、母君!!」
「まあまあ皆さん……せっかく二人きりになった許嫁同士の床を覗こうだなんて、いいご趣味ねえ。うふふふふふふ」
「母君! いいんですか、そんなこと言っちゃって?」
「そんな大変なことになると思う?」
「……思いません」
「でしょう? ほらほら、お酒が少ないですよ。まだ飲みたいなら取りに来てくださいな。僧正坊さん、今日はたくさんお手伝いしてねってお願いしたのに……私との約束なんてどうでもいいのね……」
「ち、ち、違います、母君! ちょっと皿を回収するついでに話をしていただけで……!」
「自分から座り込んだよな」
「ええ」
「ち、ちょっと君たち黙っててくれ!」
「母御前! ぜひ俺にご下命ください!」
「あら治朗くん、いいの?」
「はい、もちろん!」
「あ~あ、そっちに活路を見出したか……」
「まぁ、良かったのではないですか? しかし本当にいいのでしょうか? 藍さんたちはそのままで?」
「まぁいいんじゃないか? 母君の言う通り、あの状態で何が起こるとも思えんし。あったらあったで……」
「なんですか?」
「次の酒の肴にさせてもらおう」
「それは……名案だ」
「ええ、楽しみにしていましょう」
「あの二人……絶対面白いこと起こしてくれるもんな」
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