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法起坊さんが再び大きな拍手を贈ってくれた。
照れ臭いような、恥ずかしいような……。
「今までが平均20点を超えていなかったんだ……素晴らしいぞ、藍……!」
こっちは涙ぐむ治朗くん。うん、こっちはさすがに恥ずかしい。
ていうか、いらん情報を出さないでほしい。
「いえ、皆様のお力添えのおかげです。本当に、ありがとうございます」
そう言って、その場の皆さんに頭を下げた。
心から感謝してる。それは本当だ。
だけど、心から喜べない。というか、複雑だ……。
何故なら、私の成績アップの発起人である太郎さんは、このほど全科目でなんと0点をお取りになって、見事、全教科追試に相成ったのだ……。
「ぷぷぷ……太郎だっせー。あれだけ『僕のお嫁さんの危機を救って』とか言ってたのによ。自分がピンチに陥ってんじゃん。ぶっははははは!」
「せ、セイ……そんなに笑うと……く、ふふふ……」
笑うのはひどいけど……私も最初は耳を疑った。一番驚いていたのは本人だったけど。
しかも蓋を開けてみれば、なんとも間の抜ける話で……
「ま、笑われても仕方ねーな。なんたって、”名前の書き忘れ”で全教科0点じゃな」
三郎さんの言葉で、火がついたように爆笑が起こった。お酒も入って少々陽気になっているのもあって、ご近所中に響きそうな大声だった……。
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