第一話 天狗様、天敵(?)と相対す

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第一話 天狗様、天敵(?)と相対す

 私には、あやかしに襲われやすいことの他に、もう一つ困ったことがあった。  それは、友だちがいない事。もっと言えば、周囲の人から気にかけてもらえない事だ。 もちろん、お母さんと治朗くんは別。二人はいつだって私のことを大事にしてくれた。だけど、それ以外の人たちは違った。 無下に扱われるわけではない。いないように扱われたことはないし、冷たくされたことだってなかった。  ただ、好意を向けられたことも、悪意を向けられたことも、どちらもない。どちらかと言うと、そういった意識の対象外だったように感じていた。  クラスのみんなで遊びに行くとき、本当に私のことを忘れていたらしい。   遠足の時に、ちょっと遅れてトイレに行っていたら、その間に出発しそうになっていた。(治朗くんが止めてくれたけど)  それに、中学からずっと、実は成績が悪かったのだけど……一度も何も言われなかったり……  まぁ最後のはうまく利用して呼び出しを避けていたという面もあるのだけど……太郎さんの機転と言うか、嗅覚によって発覚してしまった。  おかげで中間テスト直前は、1000年以上の人生経験と知識を持つ大天狗様たち直々のテスト対策突貫授業を受ける羽目に……いや、ありがたいのだけど。  現にその結果…… 「5教科 平均52点! いやぁ大したもんだ!」
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