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かみさまと一緒に☆ストリートライブ
暗闇の中でPCの画面だけがピカピカと光る。その中に並ぶサムネイルのひとつを、なんとはなしにクリックした。
まず画面に映ったのは人混みだ。大勢の背中。動画はその背中を飛び越えてズームされ、その中心に立つ少女が映し出された。自分と同い年くらいだ。
「一曲、一曲だけ歌います。五分くらい時間をください。お願いします」
その声はマイクを通しても小さく、表情は不安そうだ。
なんでこんなののストリートライブにこんな人だかりが、と思った瞬間、画面の少女が歌いだす。それを見る目は見開いて固まった。
さっきまでの弱々しい挨拶とは一変、その歌声は力強い。かき鳴らすギターは激しく、そして歌の合間に猛々しく頭を振る。その姿はまるで何かに憑りつかれているようで――。
画面越しのその姿に心臓が高鳴り体温が上がるのを、その目は感じた。
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