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「つーかそもそもさ、アマネは何であんなオッサンが好きなの?」
「アマネさん、オジ専なんスか?」
「いや、そういうわけじゃな」
「よーし、そんならせっかくだし語ろう!
徹底的に語ろう!」
山坂さんは椅子をふっ飛ばしながら立ち上がる。
そのまままるで取り調べのように、机に身を乗り出して私に迫った。
「また始まったよ。
みくりんの”乙女の恋バナたいむ”。」
「またの名を”モテない女の野次馬根性”な。」
「さぁ、語れぃ乙女!
ハゲ崎との出会いは?
魅力は?
胸キュンエピソードは何かないのか!?」
いや、山坂さん前のめり過ぎない?
急にどうしたの、怖いよ。
「語れぃ乙女!
さぁ、さぁ!」
「諦めな、アマネ。
こうなったらみくりんをお腹いっぱいにするしか方法はないよ。」
「彼氏いない歴18年、行き遅れたオバサンの、無二の酒のツマミがこれだから。」
「むーたんだまれ。」
ん?いない歴18?
あれ、山坂さんって一個上なの?
「余計なこと気にしてんじゃねーよ、アマネ。
髪染め禁止の高校を中退して、偏差値低いとこに入り直したことの何がおかしい。」
「い、いや、べつに」
「なら脱線は終わり!
今ここで、あの日の打ち上げで楽しみにしてたメインイベントを執り行おうじゃんか!
さ、まず出会いは?
どうやって恋に落ちてったんだ!?」
うわぁ、何この威圧感。
獲物を狙う獣の目じゃん。
「ほら、言えよ!」
「えっと、傷の手当のために、保健室に立ち寄って――」
「それで?
どう口説かれたんだ?」
「く、口説いたなんて大層なものじゃないよ。
ただ、その怪我の原因がちょっと色々あって、それを聞いてもらってたら――」
「なんだよ、もったいぶるなって。
あのスケベオヤジ、ああ見えて遊び慣れてるんだろ?」
「遊びじゃありません。
私の一方的な片想いです。」
なんでそう過激な方向に持って行きたがるかな。
茶化すなら話さないよ?
先生を”私に付き合わされただけの被害者”にするために話してるんだから。
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