恋バナ

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「だってさ、アマネみたいな堅物のJKをココまでオトしたほどの男なんだべ? なんかこう、イカした殺し文句でもあったんじゃないの?」 「”約束するよ、俺は逃げない。 天根が卒業するまで、ずっと天根を支える。 だから、一人で背負わないで。”」 コレだね、私をお熱にした殺し文句は。 「かーっ、なんだかありふれたセリフだな。 ウチらの倍は生きてるくせに、もっとこう、斬新で男らしくて重みのある言葉は出て来ねぇのかよ。」 「私にとっては、この上なく革新的で頼りがいがあって深く響く言葉だよ。」 私が迷いなく言い放つと、山坂さんは溜め息をついた。 「そんな言葉でイカされるなんて、アマネも安い女だね。」 「いや、コレを言われるまでにアマネにも色々あったんでしょ? 背景次第だけど、内容以上に迷いなく言ったって部分は評価すべきだとアタシは思うよ。 まあハゲ崎が言ってたら笑うけど。」 「つーか、人の言葉も価値観も安く値踏みすっから彼氏できねぇんだよ、みくりんは。」 「」 あ、山坂さんが血を吐いた。 (ような気がした。) 「2人はいるんだ?」 「だねー。 もっともアタシは、むーたんみたいに長い付き合いはしてないけど。」 「ウチはかなっちみたく好かれるタイプじゃねぇからな。」 アイツと別れたら、二度と彼氏できない自信がある。 そう断言する金児さんに、杉田さんも納得している様子。 「とか言いつつ、むーたんもカレもお互い暴言吐きまくりだよね。」 「あんなん暴言にゃ入らねぇって。 だいたい、ドMのウチより気の弱い男なんかお断りだっつーの。」 ん?ドM・・・? 金児さんが? 「なんだよアマネ? 何か文句あんのかよ?」 いやいやいやっ、ありすぎて伝えきれないよっ。 「むーたんの口の悪さはもう、死なないと変わんないっしょ。 アタシらは気にしないけど。」 「そういう外見と中身は割りと違うモンだよ。 アマネがこう見えて、かなりのSなのと同じように。」 「え、S?私が?」 そんなバカな。 考えたことなかったけど、到底そうは思えない。 こうも流されっぱなしの私が、そんな―― 「だって、あんだけ楽しそうにハゲ崎おちょくってたじゃん。」 「あ、」 ・・・・・・。 やばいっ、返す言葉がないやっ。
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