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「ま、ベッドインしたら分かるっしょ?
自分がどっち寄りかなんて。」
い、いや、ベッドインて・・・。
「・・・ん?」
「もしかしてアマネ、してないの?」
「し、しないよっ。
向こうは妻子持ちだし、そもそも私は浮気相手にすらなってないもんっ。」
「いや、花崎とじゃなくても――」
「せっくす!」
「「「!?」」」
突然山坂さんが机を叩いた。
「なんだよ、アマネ!
しろよ!しとけよセックス!」
「ど、どうしたの山坂さん?」
「どうもこうもねぇ!
好きならヤッちゃえよ!バカ!」
「いやいやいや、だって片想いだし。」
そもそも私たちは生徒と先生。
対等な恋愛には程遠く、この想いも一過性の依存に過ぎない。
そう、生徒と先生だ。
先生にとって私の相手は、業務の一つみたいなもので――
「カンケーねぇよ!好きなんだろ!?
じゃあヤれ!喰らえ!押し倒せ!
ウチはそれを聞くことだけが楽しみなんだから!」
「待って。
なんで山坂さんのためにやらなきゃいけないの。」
なんか目的変わってない?
さっきより目が血走ってるし。
「まあ、アマネらしいっちゃアマネらしいわ。」
「けどさ、実際アマネはどうなんよ?
好きならシたくならない?」
「えぇぇ・・・」
杉田さんと金児さんも混ざってくる。
山坂さんほど強引ではないものの、興味がない訳ではなさそう。
「どうよ、アマネ?」
「ないよ、ないない。
教師だし不倫だし、おまけに私みたいなのが相手じゃ、先生がその気になるわけ無いじゃん。」
「いいんだよ、理屈なんざどーでも。
相手がどうとか、体裁がどうとかじゃなくて、お前の気持ちの話をしてんの。」
えぇ・・・勘弁してよ。
私、そんなの考えたこともないのに。
「ちょっと想像してみろって。
余計なことは考えないでさ。」
「で、でも――」
「じゃあ、エッチとは言わないよ。
抱きついたりしてたじゃん。
ああいうのをもっととか、あとはキスとかどう?」
「キス?」
・・・確かにその程度なら想像しやすいかも。
抱きついた事はもう事実だし、そのぐらいのスキンシップならまだ現実味がある。
というか朝も少しだけ考えてたっけ。
そう、あの日の話。
先生がいなくなると聞いた日の、もしもの話――
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