誤解

1/1
前へ
/174ページ
次へ

誤解

82e7afbf-92fb-4ba8-a65c-dde2a035c136 一瞬のうちに脳裏に (いつから部屋の外に居たんだろう?もしかしてケイティと話してる時にも直ぐ外に居て、私達の話を聞いて気を悪くしてるんじゃないの?) と不安がよぎった。 「ゴメンなさいね。どうしても聞きたい事があって。もう日も暮れて夜なんだけど…」 「急な用事ですか?明日ではダメな?」 「明日でも良いって言えば良いんでしょうけど、私も煮詰まってしまってて、このままじゃ寝付けなくて寝不足決定だと思ったから、いっその事あなたも巻き添えにしてやろうかと思ったの」 レイカさんは冗談っぽい口調でそう言ったが、目が全く笑ってなかった。 こちらの様子を何一つ見逃さずに、こちらの本音を看破してやろうと、好戦的に身構えているかのようにも見えた。 「単刀直入に訊くわね。ツカサとあなた、付き合ってるの?」 直球できた。 「何故そう思うんですか?」 「あの人があなたの為に不正をしようとしてるからよ」 「不正?……ですか?」 「本部へ提出する書類を御都合主義で書く事は不正だと思うのだけど、あなたの認識は違うの?」 「何を言ってるんですか?ツカサ先生が何をしてるって言いたいんですか?」 「あなたに関する事なんだからあなたがさせてるんでしょう?それともあの人が勝手にそうするように垂らし込んで暴走させてる訳?」 「勝手に私を悪者認定するのを先ず止めてもらえませんか?話が噛み合っていませんよ?あなたが何か私に濡れ衣を着せようと感情的になってる現状を自分でちゃんと自覚できてますか?」 火に油を注ぐだけかも知れないとは思ったけど、何か私の知らない所で妙な事になっているのを感じた。 しかもそれを私が裏で糸を引いているものだとレイカさんが勘違いしてる節があった。 「取り敢えずツカサさんが何をしたのか、客観的に事実だけを話してみてください」 と話を促す事にした。 「講師である私達が、あなた達見習いの成績や適性評価を本部に提出する事になってることは知ってるわよね?」 「はい、知ってます」 「良かった。ちゃんと話が通じて。この時点から話が通じないフリをされて論点ずらしの為に説明させられるんじゃなくてーー」 「ーー嫌味は余計なので、話を進めてくれません?私も早く寝たいので」 レイカさんは鼻を鳴らしてから話を続けた。 「あの人はあなたに関する成績と適性評価を改竄しようとしてるわ。あなたが彼に急に接近し出した直後から」 「改竄?ですか?それってつまり頭の悪い私が少しでも待遇の良い職場に配置されるように先生を誑かして優秀であるかのように嘘の評価を本部へ提出させようとしてる、と。レイカ先生は、そう思っている。という話で間違いないですか?」 「あなたがアタマが悪いかどうかは兎も角。適性がズバ抜けている訳でもないジャンルで適性がズバ抜けているかのように報告書を読む者が錯覚するような書き方をあの人がしているのは確かよ」 「そうですか…。ですが[適性]判定それ自体は、どんな手法で割り出されているんでしょうか?まさか[先生達の主観]じゃないでしょうね?」 「講師側の判断も勿論多少は反映するわ。私達にも自分の人生で培った感性があるから『自分の中のこの部分がこのジャンルの適性に繋がってる』といった感じの見方で、自分の中にあるものとカブるものを持ってる人に適性を見出す事もあるわ」 「それなら『ツカサ先生が評価を改竄している』というレイカ先生の判断自体が間違っている可能性もある訳ですよね?何せレイカ先生とツカサ先生は別の人間です。別の感性を持っていて、別の基準軸を持っている訳ですから」 「その可能性はとても低いわ。あなたはどのジャンルの学問でもそこそこ優秀よ。器用貧乏って言っても良いくらい。何でもそつなくこなす代わりに何かに突出した才能はない。それはあなたが彼に急に接近するまでは私も彼もケントでさえも認めていた評価なのよ。それをツカサは急に翻したの。明らかにおかしいでしょう」 「そうなんですね…。レイカ先生から見たら確かに怪しいですね。でも私は何も知りませんよ。ツカサ先生を誑かして評価を上げさせようとか一切してませんし、何よりそんな事が起きてた事さえ今の今まで知りませんでしたから」 「それが本当なら全ては彼が勝手にしてるって事になるわね」 「この場にツカサ先生は居ませんので、私がその件に関して本当に無関係だという事を証明してくれる人は居ません。なので、此処でこのまま話していても平行線だと思います。明日が研修の最終日なので、授業が終わってから、ツカサ先生も含めて詳しい話をする事にした方が良いと思います」 私はレイカさんをサッサと追い払ってベッドに潜り込みたかった。 「その問題に関しては、あなたの言う通り明日彼も交えてするべきなんでしょうね…」 「ええ、それじゃーー」 「ーーでも、私があなたに訊きたいのは、それだけじゃないの。一番訊きたいのは、あなたが何故既婚者であるツカサを誑かしたかって事なのよ」 「ーーーー」 私は言葉が継げなかった。 一瞬何を言われたのか、本気で分からなかった。 思わず理論武装モードを取り繕うのも、 敬語を使うのも忘れて 「既婚者って誰が?……」 と素の状態で尋ねてしまった……。 *************** レイカさんの話ではツカサさんは3年前に結婚している。 新婚期を過ぎて、以前ほどは惚気は出なくなったけど、それなりに夫婦仲睦まじい奥さんがいて、お子さんもいるのだとか。 それなのに私の成績や適性評価を露骨に贔屓し出して「自分の助手に必要な人材だ」という報告書を作成しているらしい。 露骨な贔屓と、自分の元への露骨な引き留め。 それを知ったケントさんが 「ツカサとイオリはデキてる」 と言いだしたのだそうだ。 (あの出歯亀!勝手にデキてるだのと吹聴しやがって!) これまで一緒に仕事をしてきた中で見てきたツカサさんの人柄から、 「イオリがツカサに何かして惑わせたのだろう」という推理になったのだ、との事。 特にケントさんは私の事を 「中身はかなりの年増で他人を手玉に取る手管に長けてる油断ならない女」 と思っているらしい。 (逆恨みでそこまで言うか!) なのでレイカさんも 「イオリがツカサを誑かして不倫しているのだろう」 という認識になったのだとか…。 「えー、中身は確かに年増です。前世の享年は45歳なので、皆さん方から比較すると長生きした方だと思います。今世の15年を加えると、通算年齢60歳でして、ツカサさんと同じなんですよ。地球で同年代だった事もあって、それで向こうの話をした場合にやたら気が合うんですよ」 と、事実をそのまま話した。 「……そうだったのね…。私てっきり…あなた達が不倫してるんだと思って、お節介でウザいだけだって分かってたんだけど。 でも私、前世で不倫してた友達がいて、彼女、決して幸せになれなかったから。 あなたがしてる事をやめさせようって思ってしまったのよ…」 レイカさんは自分の勘違いに気づいたようだった。 (でも不倫してた友達云々の話は信憑性が薄い、かなぁ。自分がツカサさんを好きだって自覚が無いまま恋心に蓋をしてる所に嫉妬を感じて、ってことなんじゃないのかなぁ……まぁ、どうでもいいか。それはレイカさん自身の問題だし) 取り敢えず[報告書捏造問題]に関する詳しい話は明日全ての授業終了後にツカサさんを交えて行う、という事を再確認してレイカさんは立ち去って行った。 *************** 何が正しいことなのかなんて、誰にも分からない。 「それを決める権利がある」のが本当は誰なのかなんて、本当は誰にも分かっていないのだから。 *************** 魔法使いという存在はかなりチートである。 【世界】の【管理者】側にとって接続承認契約は、別世界から乗り換え参入してくる者達を釣る餌でもあり、一般参入者達の悪霊化を防ぐ目的もあるものである。 【世界】は参入者達の創造エネルギーを徴収・搾取することで成り立っているので、【世界】という空間自体に対する疑問や推測を封じる暗愚推奨傾向がある。 しかし空間認知力に関する暗愚さが極まると参入者は人間になりきって唯物的主観に意識の全てを持っていかれてしまう。 そして死んだ後も【覚醒】できない状態となり、悪霊化してしまう。 魔法使いという存在は「存在するだけで唯物的主観を相対化する」作用を人々の意識へ齎す。 なので魔法使いは人々の悪霊化を防いでいるのだ。 「参入者を悪霊化させずに、それでいて【世界】を維持する為の創造エネルギーを徴収し続ける」という【管理者】側の都合を充分配慮して行動する義務が魔法使いには課せられている。 本来なら魔法使いはそうした【管理者】側の都合にのみ配慮していればいい筈である。 しかし肉体を纏い【世界】の内部に人間として参入する「魔法使い」は、 【世界】の内部に存在する人間社会で国家や民族集団等のいずれかに帰属することになる。 魔法使いが帰属集団に取り込まれ【管理者(神)】に従うよりも帰属先に忠義を尽くすのは「神への不忠」だとも言える。 [拝領の間]を有する国では [拝領の間]は王城の地下にある。 だが実は[拝領の間]がある地下神殿の地上に、後から人間が勝手に王城を建てた、というのが実情なのである。 この事実を知らない魔法使いは「神の意志」と「人間社会の都合」との間に大きな差異があることに気付きにくい。 そして国家や世俗の価値観に振り回されやすい。 逆に、知っている魔法使いは 「【管理者】の都合さえ優先するならば、自分はそれで良いのだ。国家や世俗の価値観など知ったことか」 といった自由な発想の中で生きていける。 *************** 非常に疲れた一夜が明けてしまい、 いよいよ研修最終日を迎えた。 昨夜にレイカさんと約束したように全ての授業終了後に[報告書捏造問題]に関して、ツカサさんを交えて事情聴取が行われる事になった。 ツカサさんが憮然とした表情でレイカさんとケントさんを睨む。 「何か大袈裟な事になってるみたいだけど…一体何事な訳?」 「そりゃ、アンタが器用貧乏のイオリの事を自分の助手に是非とも必要な人材だとか何とか、適性無視した報告を上に上げようとしてるからでしょうが」 レイカさんが鋭くツッコむ。 ケントさんが頷く。 「アホか、お前ら」 ツカサさんが眉をしかめる。 今までずっと紳士的だったツカサさんしか見た事がなかった私は驚いた。 「お前らは人事を一体何だと思ってるんだ? 『チームワークを個の能力よりも優先する』という価値観を知らんのか? 適性や能力が高くても自分から見て気に入らなければ、そんなヤツ使っても効率上昇するとは限らんだろが。 人間は主観の生き物だ。特に俺は文系だから、その傾向が強い。 俺は気に入らない能力の高いヤツと仕事するよりも、能力及第点の気に入った相手と仕事する方が断然はかどるんだよ。 自分のそういった性質を理解してイオリを助手に、と考えた事の何が問題なのか? お前らが一体どんな下衆の勘繰りをしてるのか知らんが、俺が納得できるように、まともな理由を今ここで説明しろ」 ツカサさんが不機嫌そうに言い放った。 ケントさんが 「俺も、仕事の進捗にはチームワークが大事って話は納得できるぜ。 けどアンタの場合は、嫁がいるくせに、愛人を職場に囲おうとして、チームワーク云々と掏り替えてるだけだろが。見苦しいんだよ」 とツカサさんを批判すると、ツカサさんの目が急に坐った。 「黙れや、ゲスが。お前は一体自分が何言ってるのか、自分で解ってるのか? 一体誰が誰の愛人だって?バカなの?死ぬの? なんでお前は手前勝手な妄想を現実前提してるんだよ? しかも何で俺がお前の手前勝手な道徳観に従って、お前の脳内裁判に付き合って、俺がお前の御託を聞かなきゃならないんだ? 意味が分からないんだけど? 大体、俺はイオリに指一本触れてないし、愛人前提自体がイオリに対する失礼極まる侮辱なんだよ! しかも仮にだ、もしも今後俺達がそういう仲になったとしてもだ。 この世界は一夫一妻制じゃない。一夫多妻制だ。 それをこの世界の連中は当たり前に受け入れてるんだ。 地球の先進国の一夫一妻制の価値観を此処に持ち込んで『傷つく人達がいる』だのと妄想してるヤツがいるとしたら、そいつ自身が前世の地球の価値観や拘りに縛られてて、思考停止して現実適応出来なくなってるんだよ! 地球で受けたテメエ自身のトラウマをこの世界に持ち込んで、勝手に他人を悪者認定してる時点で、こっちはムカつくのに。 更には断罪イベントみたいに呼び出して、まるで自分を正義みたいに勘違いしたままフザケタ事ぬかしやがるのが心底虫唾が走るんだよ!」 かなり怒っている。 「ふん。今日は本性丸出しだな。 可愛いイオリちゃんがそっちでドン退きしてるぜ。 お前が一夫多妻制支持者でハーレム希望者だったって事はよく分かったよ」 とケントさんが憎まれ口を叩く。 「ああ!ハーレム上等だよ! 前世ではオタクだの何だの罵られ続けて『彼女いない歴=年齢』の一生。童貞のまま死亡。 しかも最期の瞬間ってのが、痴漢冤罪振りかけられて、正義の味方のフリした弱いものイジメ大好きな野球少年による袋叩き! 金属バットで殴られて、頭陥没して、脳味噌ブチまけられてたよ!お前に何が解る?! 今世ではせっかくそれなりの容姿に恵まれたんだからな。 犯罪行為じゃない限り自分の好きに生きて何が悪い!」 ツカサさんの怒りのボルテージが上がる。 (断罪イベントに拒絶反応起こしてるって事なんだろうな…。…前世での死亡理由が悲惨過ぎるし。正義の味方ぶった相手に責められるとトラウマがぶり返すような感じなのかな) と私は冷静にツカサさんの精神状態を分析していた。 「落ち着きなさいよ。見苦しいわね。 昨夜イオリと二人で話した感じから、私はあなた達に肉体関係は無いだろうとは思ってたわよ。 あと私には理解できないけど、あなたがチームワークを個の能力より重視してる人だというのも分かった。 そういうつもりだったのなら、上への報告書に関して私が感じた違和感も、あくまでも私とあなたの価値観の相違だったという事で、あなたの判断を尊重することにするわ」 レイカさんが溜息をつきながら意見を言う。 「あと、私やケントが前世の価値観に縛られ過ぎてるってのも、言われてみればその通りなのよ。 私は前世で不倫してた事があったし、そのせいで相手の奥さんと、その奥さんの実家だった暴力団に目をつけられて、騙されて借金塗れにさせられたんだから。 AVやらデリヘルやらで性的搾取された事もあって立派にトラウマよ。 一夫多妻制がこの世界では当たり前だと頭では納得してても、それが地球出身者がやるって事になると『不倫』のイメージになっちゃって。 前世のドロドロした気持ちがオーバーラップしちゃったのよ。 そのせいでイオリにも嫌な対応をして不快がらせてしまったわ」 と言って、レイカさんはわたしの方へ向き直って 「なかなか素直になれない性分で、昨夜には言えなかったんだけど…。本当に悪かったと思ってるのよ…」 と謝罪した。 ツカサさんはレイカさんを見詰めながら少し表情を和らげた。 かと思ったら、再びケントさんを見詰めて憮然とした表情を浮かべた。 ケントさんは 「確かに、な。自分でも気づいてないまま前世の感覚でアンタとイオリに対して反感持ってたんだなって…少しは自覚したよ…」 と言って溜息をついた。 「俺がアンタとイオリに対して反感持った理由についても思い当たったし…。 アンタらは、俺がガキだった時に既に大人だった人達だったから。 どっか心の中で『大人のくせに、なんで俺の事助けてくれなかったんだよ?!』って、死ぬ間際に親や教師に対して思った感情を知らない間にアンタらに重ねてたんだと思う。 前世の俺は父親のいない子供だったから、人生の手本とかなんも無い状態だったんだよ。 母親が米軍の兵隊3人からレイプされて妊娠して出来たのが俺だったから、俺は母親から嫌われてた。 あの女は俺を祖母ちゃんの所に預けっぱなしにして、俺の知らない男と結婚して家庭を持ってた。 俺の知らない弟達と仲良く暮らして、俺の存在は完全に無視し続けてたんだ。 物心つく前からそんなだったんで、俺は祖母ちゃんが死ぬまで、母親の顔なんでアルバムの写真でしか知らなかったよ。 祖母ちゃんが死んだのが俺が小6の時なんだけどさ。 母親が引き取りを拒否したんで、それから中学を出るまでの間、養護施設に入れられたよ。 父親なんて何処の誰かも知らないし、調べようもなかったけど、俺の顔ってまるっきり母親に似てなくて白人顏だったし。 母親が当時住んでた地域に米軍基地があったんで、レイプ云々の話を聞く前から、薄々分かってはいたんだ。 日本じゃ人も物も舶来物がやたら持て囃されるだろ? 俺もハーフって事で、そこそこモテたから、調子に乗ってたんだろうな。 パチンコ・麻雀・競馬と、ギャンブルに取り憑かれてしまってさ。 気がつけば借金地獄。それでも懲りずに、女から金せびって、小金でも握れば又金賭けてスる、の繰り返し。 ホームレスやって借金取りから逃げ回ったりもした。 最期は人身売買。臓器やら何やらを売って金払えって事で、麻酔かけられて臓器摘出されて、そのままだ。 クソみたいな世の中だったと思うんだけど。 でも普通に生きてる連中もいっぱいいたし、誰かに助けて欲しかったんだよ…」 ケントさんは最後の部分の言葉を絞り出すように紡いだ…。 ケントさんの話を聞いて 「そんな事言われてもね」 と思ってしまったので、思わずツッコミを入れてしまう。 「人が人を助けるのって、それだけの余裕がある人がやる事だと思いますよ。 他人を助ける余裕も無いのに他人を助けたがるのって、メサイア症候群とかいう精神異常の一種だし。 此処に転生してる地球出身者の前世って例外なく[カルマ清算の為の生]だった筈だから、他人を助けるような余裕があった人って先ず居ない筈だし。 前世でメサイア症候群だったって訳じゃなかった限り『助けて欲しかった』って言われても困惑しますよね」 ケントさんはそれを聞いて 「だからだよ!俺の前世の不幸とは何の関係もないツカサとイオリに、無意識のうちにそういった感情を向けてたのが完全に八つ当たりだって気付いたから。 だからスマナイな…って思ったんだよ…」 「へぇ〜。スマナイって思ってたんだ?」 とツカサさんが嫌味を言うと 「だから今思ったんだって!」 とケントさんが自己弁明する。 色々ツッコミたい気はするけど、 一応「対立の空気」は霧散したものと思う事にした。 しかし… (なんか皆、私の事を勘違いしてるような気もするんだよね。ツカサさんもドサクサに紛れて告白紛いの事を言ってたけど、なんか私のイメージが美化されてる可能性があるような…) といった点に違和感が残る。 なので私も自分の前世に関してドン退きされるのを覚悟でアラスジを話しておこうと決意した。 「あの〜。一応各個人のトラウマ絡みの見解の相違による誤解と対立も解決したものと見做すとしてですね。 それでまぁ、私をツカサさんの助手に、という話に関して何ですが… それに関して私の方には何も意見を求められてなかったようですが… 一応私の方からも前世絡みで話をさせてもらって、こちらの人間性を紹介させて頂きますね。 その方が変に理想化されたり、妬みや依存心を向けられる可能性も減ると思います。 助手云々は、その上で改めて検討して頂いた方が相互的に良い結果に繋がると思いますので。 良いですか?私が話しをしても」 私がそう尋ねると 皆は了承の意を込めて頷いた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加