6人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「おかえり。おじいちゃん達ももうじき着くみたいよ。
……あら?何なの?その袋…」
「え?えっと…母さんにお土産…」
「えっ!私に?」
ちょうどその時、家の前に車が停まる音がした。
「あ、着いたみたいね!」
母さんはそそくさと玄関へ向かった。
「あ、じいちゃん。明けましておめでとうございます。」
「おめでとう、健二。」
じいちゃんは相変わらず元気そうだ。
「なんじゃ、これは?」
「健二が私に買ってきてくれたんですよ。」
そう言って、母さんはまず小さな方に手を伸ばし、袋をべりべりと破った。
「これがお土産?」
母さんが取り出したのは、羽根つきの羽根だった。
やっぱり…思った通り、くだらないものだ。
こんなのが一つだけなんて、500円でも高い!
「こっちは何なんじゃ?」
皆が見守る中、母さんは大きな方の袋を破り始めた。
どうせ、こっちもつまらないものだろう。
「まぁ!」
「わあっ!」
出てきたのは、なんと、獅子舞の獅子頭だった。
「健二、どういうこと?なんで、羽根つきに獅子舞なの?」
「え?……実はそれ、お正月福袋ってやつで…」
「こりゃあなかなか高いもんだぞ。」
じいちゃんは獅子頭を手に取り、しみじみと呟く。
獅子頭がいくらくらいするのかなんて見当もつかないけど…言われてみれば、確かに高そうだ。
「どれどれ…」
じいちゃんは獅子頭をかぶり、祭り囃子を真似しながら、獅子頭の口をカタカタ鳴らす。
「せっかくだから、噛んでもらいましょうよ。」
母さんがそう言って、獅子の前に頭を差し出す。
じいちゃんも調子に乗って、老人とは思えない足さばきで踊りながら、母さんの頭を噛んだ。
続いて、父さんや俺もじいちゃんの獅子に頭を噛まれて…
「ほれ、裕二、今度はおまえだ。」
じいちゃんは獅子頭を父さんに渡し、今度は父さんがじいちゃんの頭を噛む。
なんだかよくわからないながらも、俺達はそんなにわか獅子舞を大いに楽しんだ。
最初のコメントを投稿しよう!