お正月福袋

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* 「おかえり。おじいちゃん達ももうじき着くみたいよ。 ……あら?何なの?その袋…」 「え?えっと…母さんにお土産…」 「えっ!私に?」 ちょうどその時、家の前に車が停まる音がした。 「あ、着いたみたいね!」 母さんはそそくさと玄関へ向かった。 「あ、じいちゃん。明けましておめでとうございます。」 「おめでとう、健二。」 じいちゃんは相変わらず元気そうだ。 「なんじゃ、これは?」 「健二が私に買ってきてくれたんですよ。」 そう言って、母さんはまず小さな方に手を伸ばし、袋をべりべりと破った。 「これがお土産?」 母さんが取り出したのは、羽根つきの羽根だった。 やっぱり…思った通り、くだらないものだ。 こんなのが一つだけなんて、500円でも高い! 「こっちは何なんじゃ?」 皆が見守る中、母さんは大きな方の袋を破り始めた。 どうせ、こっちもつまらないものだろう。 「まぁ!」 「わあっ!」 出てきたのは、なんと、獅子舞の獅子頭だった。 「健二、どういうこと?なんで、羽根つきに獅子舞なの?」 「え?……実はそれ、お正月福袋ってやつで…」 「こりゃあなかなか高いもんだぞ。」 じいちゃんは獅子頭を手に取り、しみじみと呟く。 獅子頭がいくらくらいするのかなんて見当もつかないけど…言われてみれば、確かに高そうだ。 「どれどれ…」 じいちゃんは獅子頭をかぶり、祭り囃子を真似しながら、獅子頭の口をカタカタ鳴らす。 「せっかくだから、噛んでもらいましょうよ。」 母さんがそう言って、獅子の前に頭を差し出す。 じいちゃんも調子に乗って、老人とは思えない足さばきで踊りながら、母さんの頭を噛んだ。 続いて、父さんや俺もじいちゃんの獅子に頭を噛まれて… 「ほれ、裕二、今度はおまえだ。」 じいちゃんは獅子頭を父さんに渡し、今度は父さんがじいちゃんの頭を噛む。 なんだかよくわからないながらも、俺達はそんなにわか獅子舞を大いに楽しんだ。
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