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喫茶・待ち合わせ
(これからどうしよう…)
衝動的に決行してしまった一人旅……
それは、旅行代理店に貼られた一枚のポスターがきっかけだった。
赤や黄色に彩られた山の景色…こんなのを見たら、きっと少しは気持ちも晴れるはず。
私はその場でその旅行を申し込んだ。
行きと帰りと宿は決まってるとはいえ、着いた先ではフリープランだ。
誰にも気兼ねをすることなく、好きなように楽しめそうだった。
小さなボストンバッグに荷物を詰めて、その三日後、私は西へ旅立った。
新幹線の中でうとうとしているうちに、あっという間に目的地に着いた。
ホテルに荷物を預け、私は早速、バスを乗り継ぎ、紅葉の山に出かけた。
ポスターよりもずっと鮮やかな美しい風景がそこには広がっていた。
晴れやかな顔をした観光客達が、紅葉を背に写真を撮っている。
皆、誰かしら連れがいて……
なのに、私の隣には誰もいないことが酷く寂しく感じられた。
(本当に綺麗……)
こぼれそうになったのは、感動の涙ということにしておこう。
私は目の前の風景をしっかりと心に収め、人気を避けて、寂しい脇道を下って行った。
(おかしいな…)
登って来た道とは違うとはいえ、そこはどう考えても下に続く道…
確かに下に向いて歩いて来たのだけれど、停留所のあったあの場所がなかなかみつからない。
しかも、うっすらと白い霧までが広がって来て、私は見知らぬ土地で迷子になって、心細さに唇を噛みしめた。
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