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世の中はお盆だというのに開業したばかりの夫の病院はいつも通りに開いていて、それでもスタッフさん達はお休みが欲しいだろうからと休んでもらったので富士子に手伝いに来て欲しいと朝の5時に出かけた夫から電話があったのだ。
生まれた時から重い心臓病の港ちゃんを普段なら人混みには決して連れて行かないから、いつものように家で一日中過ごすと思っていた息子達は大喜びだった。
港ちゃんは急な予定変更が苦手だから夫から、
「 お願いだから手伝って。」
と、電話がかかって来た時に富士子は、
「 今っていうのは難しいんじゃないかなぁ。」
なんて返事してしまったんだけど富士子の足元で電話を聞いていた子供達は、
「やったー。」
と、飛び上がって喜んでいる。いつでもどこへ行く時もトイレへ行く時でさえもついて来て富士子の足に二人の息子達はしがみついていた。今ではもう信じられないのだけれど。
「 えっ、行ってもいいの?」
と、港ちゃんと総十郎君に確認すると二人とも声を合わせて、
「 いいですよー。」
と、返事をした。
2人の気が変わらないうちにと富士子達はは急いでご飯を食べて着替えを済ませてお出かけの準備をする。
火の始末をして戸締りを確認して荷物を車に運んでから総十郎君をチャイルドシートに座らせて港ちゃんもチャイルドシートに座らせた。
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