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初めて幼稚園に行ったとき先生やお友達たちの優しさに驚いた。誰も自分を叩かないし怒鳴らない。静かに話をして自分の話を聞いてくれる。富士子は心の底から驚き、家の外にはこんなに素敵な世界が広がっているのかを知った。
それでも嘘をついたり意地悪をする子達はいて、富士子はいつもだまされた。信じられないくらい簡単にだまされるから、いつの間にか噂になりからかいの対象になった。そんな時富士子は誰にも何も言わずその事が通り過ぎていくのを待った。また子供の頃のことを思い出してしまったが今大人になって、富士子は自分で子供を産んで育てている。
大切に大事にしている。
ずっと見ているからわかる。ちゃんと見ているから知っている。港ちゃんが嘘をついて人をだましたりしない人だということを知っている。今までそんな事は一度だって無いんだ。今まで一度もないからと今うそをついたのかと疑うなんて富士子には出来なかった。
富士子の両親はいつも嘘をついていたから何か話かけられたら何がウソで何が本当かわからなかった。いつも全然わからなかった。そしてそれは今でも全く変わらない。港ちゃんはあんな人達とは全く違う純粋な正直な素直な生き物だ。それは間違いない。だって心臓の手術をして心臓が止まった時に天国へ行って帰って来たくらいの人だから。
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