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第2話 淳弥
長い長い夢を見て、目覚めた朝みたいだった。
今まで見てた世界と、眼前にある光景と。
どちらが現実か判断に迷って、大きく溜め息をつく。
ああ、幸せな方が夢だったんだと、気づいた時にはすべて終わってた──
「ごめんね、夕希ちゃん…」
ありきりな言葉しか掛けられず、彼女の前を立ち去った。
どうしてこんなところに彼女がいたのか。尽きせぬ疑問と、こんなところに来なければ、もっと一緒にいられたのに…と恨む気持ち。けれど、どう転んだって、先行きは長くなかった。
パラレルワールドなんてありえない。結局はひとつの世界に統合される。そしてそれは、淳弥が生きにくい方の世界だった――
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