君に金の矢を

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 人ごみの多いスクランブル交差点を、いつも行くゲームセンター方面に渡っていたら、突然背中に衝撃を受けた。  そして胸に溢れる、はじめての感覚。  いとおしさ、甘酸っぱさ、あとはもう、とにかく、愛、愛、愛。  止めどない愛情が胸いっぱいに広がって、世界の色が変わったかのような、自分自身を抱き締めたくなるようなもどかしさ。  思わず立ち止まると、後ろから、 「ああーっ! すみません! 間違えましたあ!!!」 絶叫する声が聞こえた。思わず俺は振り向く。  雑居ビルの屋上に、白い服を着た、謝罪のポーズを取る女の子が居た。  手には金色の弓を持っていて、彼女の背中には羽根がある。  彼女は俺の胸を指差し、何度も手を合わせて謝罪していた。  恐る恐る、自分の胸の辺りを見る。  握りこぶしより小さい位の、ピンクのハートの矢じりが飛び出していた。  俺は、愛のキューピッドに誤射されていた。
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