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「……清田、清田秀」
俺は、屋上の地面を睨みながら言った。
どうせ言われるんだろ、俺の見た目と名前から、『キモタ』とか『キモオタすぎる』なんてあだ名をさ。
運命の相手、ねぇ。
俺は、端末で検索をする天使を見ていた。
彼女は上下に端末を振ったり、つついたり、スライドさせたり、縦にしたり横にしたり、睨み付けたり真っ青な顔になったりした。
「……清田さん、すみません、これの使い方とかわかりますか……?」
そこからかよ!!! 彼女は貸出用端末の扱いに慣れていなかった。
「……ここが検索? 多分。それで、ここ押すと、周辺の人間の恋愛成就状況、これが地図で、ここが成績、かな、多分だけど」
「わあ、清田さんありがとうございます! わたしが触ると、なんだか画面が横になったり縦になったりするんですよね!」
彼女は嬉しそうに端末を受け取り、もう一度操作をし始めた。なんだか母親かばあちゃんにスマホの操作を教える感じに似ている。
「もう任せてください!!! すぐに清田さんの運命の相手を見つけて差し上げますよ!」
天使は大張り切りで、胸を張って端末を操作する。
そしてすぐに真っ青な顔をして、
「清田さん、『ろぐいんあいでぃー』と『ぱすわーど』って何でしょうか……」
と聞いてきた。
俺は呆れながら、
「ポシェットの中、一回見てみようか」
と言った。
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