君に金の矢を

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 一日中歩き回って結局収穫、無し。  振り出しに戻って、雑居ビルの屋上に上がる事にした。  西日が眩しい。  あーあ、この年で、生涯天涯孤独が約束されちゃうのか。  天使だけは諦めていないようで、地面を歩く人で好みが居ればいつでも射抜くと言っている。 「もういいよ。俺がモテない事も、運命の相手が居ないことも、今日一日でよーく分かった。もうあとは死ぬまで独り身!」 「そんなことありません! 清田さんは、優しくて、親切じゃないですか! 清田さんは、ご自分で思っているよりもずっと、ずっとずっと、素敵な方なんです! だから、安心してください! この矢は、わたしが居なくなっても、必ず、他の天使の方に引き継いでもらえるようお願いしてきます!」 天使は、大きな夕焼けを背景に、両手を広げて言った。 俺は、その言葉に、少し引っ掛かった。 「ちょっと、聞いてもいいか?」 「はい、なんでしょう?」 「『わたしが居なくなっても』って、どういう意味?」 天使は、少し、目を細めた。 「へへへ、気付いちゃいましたか」 回りのビルの窓ガラスに反射したオレンジ色が、目に痛い。
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