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「ねえ?」
「あ?」
「キムちゃんは、今幸せ?」
切れ長の瞳には、泣き笑いした不細工な自分の顔が映る。
「おお。お前は?」
「なら、私も幸せだ」
と、ニンマリと笑ってみせるとオデコをペシリと叩かれる。
「……ったく。……泣くか笑うかどっちかにしろよな」
「初恋はタチが悪いから」
だけど、大丈夫。
生きていれば、いつかはまた先輩と笑い合える。
生きていれば、いつかはまた誰かに恋をする。
__自分さえ手放さなければ、いつか幸せはやってくるから。
「まあ。ちーかまでも食えよ」
と、どこからか取り出しのか優しく差し出されたちーかまを口の中に放り投げる。
涙のせいかいつもよりしょっぱいけれど、私にとっては幸せの味がする。
「……キムちゃん。ありがとう」
今度は私も、彼のように好きになった相手を信じ抜きたいと思う。
荒むばかりではなく、恋をして綺麗になりたいと思う。
だから、これからも生きていく。
__まだ見ぬキミと、生きる未来の為に。
おわり
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