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それから三日が経とうとしていたが、私は地獄に落ちることもなく五年前の世界に留まっていた。
朝は変わらず、先輩が公園の前で待っていて、無視していても一方的に色んな話しをしてくる。
だんだん無視するのも疲れて、相槌ぐらいは打つしようになったら先輩はすごく嬉しそうに、マシンガンのように話すようになってしまった。
あまり話さないイメージだった先輩は、もはやお喋りとしか言いようがない。
そして私はというと、段々とこの生活に馴染み始めている。
ただ困ったことは、授業が退屈なこと。やはり一度やったことは、何となくでも覚えているものだ。
それに休み時間も過去とは違いミカと話さなくなった分、時間を持て余している。
とにかく私は退屈だった。
そこで刺激を求め、過去にしたことのないことを実行してみようと考えたのだった。
三限目は私の得意な歴史。
もう出席日数も足りているし、人生初のサボリを実行することに決めたのだ。
「……感動」
生まれてこの方、真面目に生きて来た。
体調不良で授業を休まざるを得ないことはあったけれど、退屈だという理由でサボったことなんてなかった。
だから、私は緊張と興奮が入り交じる不思議な感覚で外に出る。
もう11月だからとても寒いけれど、初めてのサボリに興奮しているのか寒さを全く感じない。
とりあえず裏庭に行ってみようと歩いていると、体育館が見えてくる。
中からはキュッとシューズの擦れる懐かしい音や生徒達の賑やかな声が聞こえた。
体育館の横を通り抜けて、真っ直ぐ歩くと憧れの裏庭があった。
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