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わたしの想い
通夜では、高田の息子が赤ん坊を抱いていた。
「弟です」
「君の幼い頃に似ているね」
私がそう答えると、彼は笑おうとした。けれど、うまくできずに肩を震わせていた。
高田は、私たちの会話を黙って聞いていた。息子に背を追い越された高田が、やけに小さく見えた。
僧侶がお経をあげる間、私は前に座る高田の後頭部を見ていた。薄くなった彼の頭を見て、彼も年を取ったんだなと思った。
もう、先を歩かないでくれ。
家庭を持ったばかりの私には、愛する人を失ったおまえの気持ちをわかってやれない。
愛しい人がいなくなったときの本当の怖さを、私はまだ知らない。
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