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いつからだろう? ーー夢を、見る。 繰り返し、繰り返す。 燃え盛る炎。 何か叫んで、手を伸ばす自分。 炎の中から、自分を突き飛ばす逞しい腕。 火に包まれて、息が出来なくて。 誰かが、何かを叫んでいる。 夜中、目を覚ますと、冬でも汗びっしょりになっている。 胸のもやもやは…怖いから? それとも。 なぜかわからないけど苦しい。 わからない。けど… 胸を占めるのは、ただ、 何か、とても、とても大事なことを忘れてしまったような感覚だけ。 そして、濡れている頬。 自分の泣き声で目を覚ますことさえ、あった。 小さい時は、隣で寝ていた母と父が、落ち着くまで背中を撫でてくれたっけ。 今、その役目は、ーー恋人となった、優人(ゆうと)の仕事に、なった。 「來未(くみ)、またあの夢、見たの…?」 時計は深夜2時。 眠いだろうに、優人はいつも優しい。 「ん…ごめん、起こして… 久しぶりに見た…最近見てなかったのに」 ベッドで向かい合い、優人は優しく私の髪を撫で、 自分の胸に抱き寄せて、背中を撫でてくれる。 「大丈夫…俺がいるよ」 頬の涙は、優人のパジャマの胸の部分が吸い取ってしまった。 「うん…ありがとね」 優人の胸は、安心する。 広く、温かく、守られている気がする。 ーーありがとう、優人。 大好き…
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