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次の日も、その次の日も、見てしまった。
日に日に、とてもリアルになっている。
「お方様!いけませぬ、なりませぬ」
「離せ!
…御屋形様…!!」
火の中に伸ばした手ーージリジリと皮膚が焦げ、熱風で髪が舞い上がる
「………去ね!」
ドン!火の中から逞しい腕が伸びてーー突き飛ばされる。
「いやぁ…!!」
「來未?」
ゆさゆさとカラダを揺すられ、パチッと目が覚める。
涙が流れてーー優人と目が合う。
「大丈夫?うなされてた…」
「あ…」
やけにリアルな、夢。
左手の甲が、ひどく熱く、痛くてーー
思わずさすると、優人がそっと握ってくれた。
「來未…痛むの?」
私の左手の甲には、生まれつき大きな痣がある。
皮膚が真っ黒で
小さい頃、父と母は、何度も皮膚移植をしようとしたが、医師からもう少し大きくなってから考えるよう言われたという。
母は、自分のせいと思ったんだろう、何度も謝ってくれた。
でも、母のせいではない。これは、生まれつきなんだから。
他人からじろじろ見られることはあったが、私はあまり気に病むこともなく、育った。
優人と出会ってーー優人も気にしないと言ってくれたから…今もそのままだ。
優人が左手の甲に唇を寄せる。
「痛いの?來未の手が…早く、痛くなくなりますように」
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