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歩きにくいほどの人の波。
優人に手を引かれ、一生懸命ついていく。
ふとーー何か気になった。
視線…
もの凄い数の人の中にいるのに
はるか向こうに立っている男性とーー目が合った。
強固な意志を感じさせる、青年の目。
じいっと鋭い瞳でこちらを見ているのは?気のせい…?
なぜか、目が全く逸らせなくてーー歩きながら見つめ合ってしまう。
ーー誰?
…なんだろう…懐かしいのか…怖いのか…
ドクドクと脈打つ心臓。
この感情は
説明がつかない。
あの人は…誰…?
少し近づくと、その青年の首に大きな痣があるのが見えた。
私の手の痣みたいに、黒い。
じっと見つめ合ったまま、距離だけがどんどん近づく。
とうとう、目の前までーー
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