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スクランブル交差点
日曜日。
穏やかな午後。
優人と私は、街に出ていた。
同棲してからもう半年。
3か月後に結婚式を控えて、今日は、オーダーしていた指輪を取りに出ていた。
「もう、出欠の返事もあらかた集まったね
来週は衣装か。忙しいな」
スクランブル交差点の信号待ち
たくさんの人ごみの中、よくはぐれる私を心配して、優人は手をぎゅっと握ってくれる。
「うん。なんか子どもの頃想像してたより大規模な式になりそうでね…」
「想像?」
見上げると、優しく見下ろす優人と目が合う。
「うん。
式は家族だけでもよかったんだけど…100人規模となると、緊張するっていうか…盛大だよね」
優人はクスっと笑う。
「來未の花嫁姿、キレイだろうな…
式で、会社の奴みんなに自慢したいんだ
俺の嫁だぞって」
「えっ…」
優人はじっとーー私の目の中を覗き込むようにーーじっと見つめた。
「來未…好きだよ
あのね、
不思議なんだけど」
「ん?」
その時、信号が変わってーー私たちは話をやめて、歩き出した。
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