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ヌケル、人生を反省し涙する
2 エスカレーターの手すりにつかまり己のヌケサクぶりを反省しながら下降する
こちらの選択肢を選んだヌケルは自分の愚かさを反省した。そしてエスカレーターが下降するわずかな時間で真の目的地であるTOHOシネマズ新宿までのルートを検索し、頭に叩き込んだ。
「俺は、この人ごみを抜けて映画館までたどり着くんだ!それが俺の東京使命!」
使命を感じたヌケルは足早に人ごみを抜けて歌舞伎町に入り、無事にTOHOシネマズ新宿にたどり着いた。
こちらの館内もひどい人ごみだったが、ヌケルはくじけない。
「俺は映画館にたどり着いたんだ。引きこもりがちな俺が頑張って新宿の映画館までたどり着いたんだ。人類にとってはわずかな距離でも、俺にとっては過酷なミッションだった。人ごみをかき分け、ついにたどり着いたこの努力が報われる瞬間が来たんだ」
ヌケルは普通に15分遅れでTOHOシネマズ新宿にたどり着いたので、館内の着席した人ごみに謝罪しながら席に着く。ちょうど予告編が終わる瞬間だった。予告編に感謝したヌケルは涙する。
「間に合ったぞ。俺は間に合ったんだ。人ごみよ、俺を導いてくれて、ありがとう」
(終)
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