新しい入居者が来ました

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新しい入居者が来ました

此処は魔王城から徒歩30分と近場のマンションです。木造住宅でアパートと言った方が良いのは気のせいなのです。増築に増築を重ねて四階建になったのですから、マンションと言っても過言では無いのです! 建築法って何ですか? 木造と言っても、使用している木材は魔界樹の木の枝です。山みたいに大きなサイクロプス族が乗っても折れない強度なのです。加工するのは大変でしたが、人外が住むにはある程度の強度と広さがなくてはいけないのですから。 「大家さーん! 新しい子、来ましたよ!」 マンションの住人が気を利かせて私に声をかけてくれた。千里眼の持ち主である三つ目族は見張り役・・・こほん、伝令役として優秀ですね。 「あ、はーい!」 私は此処の大家で魔神族です。魔王様の遠い親戚に当たります。神様との喧嘩に敗れて魔界に堕ちた先祖が居たとか何とか。まぁその話はまた今度。今は入居者が来たんでした。 「貴方が最近四天王入りしたデーモン族さんですか?」 マンションの前には見上げる程の大きさで、私の頭が膝下にしか届かない位の巨人が居ました。 「初めまして、この度晴れて四天王入りを果たせたグレーターデーモンのファウガスト六世です」 背に閉まっていた蝙蝠の翼を広げ、私に向かい膝を落としてこうべを垂れてきました。 「おめでとうございます。部屋の広さはドラゴン族と同じで大丈夫ですか?」 「問題有りません。伸縮は可能なので、生活空間は調整可能ですから」 「魔王様には1番広い部屋を用意して欲しいと言われていましたから、其方を使って下さい。鍵は魔道具式と術式のどちらにしますか?」 「では術式で。魔道具は戦闘の際に落としてしまうかもしれませんから」 「判りました。手を出して貰えますか?」 私が乗っても余裕で余る掌を差し出してくれるファウガスト六世さん。掌の中心に向かい手をかざして術式を込める。 「これで扉の開け閉めは掌をかざすだけで開きます。腕が無くなったり、掌が陥没したりしたら私に声をかけて下さい。術式をかけ直しますので」 「勇者に出会わない限り、怪我の一つもしませんよ。ドラゴンキラー級の魔剣ですら私の皮膚にかすり傷を負わせられないのですから」 今現在このマンションには住人が部屋の半分位住んでいます。ファウガスト六世さんを合わせると部屋の空きが住人より少なくなります。未だ全部屋に住まわせられないのは大家として悔しい限りです。 「いっその事、入居者を募集してみますかね」 思い立ったが吉日、魔王城に入居者募集のポスターを貼りに行きましょう!
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