応援して。全部叶えるから。

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 閑散としている住宅街の奥にひっそりと建つ光宮高校。だいぶ前は野球の名門校だったらしいが、過去の栄光を知っている生徒もほとんどいないほどには廃れかけた学校だ。  そんな高校の校門の前に珍しい光景があった。丁度、登校中だった平沢が校門を通れないほどに人が溢れかえっているのだ。  平沢はその光景を目にするなりため息をついた。  この人ごみの中心にいる人物、つまり校門を通れない原因を作っている人物を平沢は知っていた。だけどとやかく言うつもりはない。Uターンして来た道を戻り、裏門に回ることにする。  ここ最近の平沢はずっと機嫌が悪い。  それは平沢の男友達の間でひそひそと噂されている事だった。 「けーぞー!」  放課後、平沢の名前を大きな声で呼ぶ人影があった。  昇降口を出ようとしていた平沢はその声に見向きもせず、足を進める。すると声の主は慌てて上履きを脱ぎ散らかし、靴を履き、駆け足で平沢を追いかけた。  走って逃げる、というよりは無視を貫こうとしていたのであっという間に平沢は肩を叩かれた。 「何で逃げんのさ!」 「……上履き。」 「ん?」 「出しっぱなしだ。とっととしまってこい。」  彼女は慌てて後ろを振り向いた。脱ぎ散らかされた上履きは左右に吹っ飛んでいて、あげく見事に逆さになっていた。 「あっ!」  彼女は上履きを戻しに行こうとするも、とっさに平沢の方を振り向いた。 「この隙に逃げる気でしょ?」  あまりに強い目力で訴えてくるので、平沢はため息をついた。 「……わかったから、早くしろ。」 「信じるからね!」  ようやく上履きを片付けに戻るその背中を見ながら、平沢はもう一度ため息をついた。  彼女の名は中村かなみ。平沢とは同じマンションに住んでいて、幼い頃から家族ぐるみで関係がある。いわば、幼馴染というやつだ。仲が良い日もあればもちろん大喧嘩する日もある、ほとんど兄妹のような関係だった。  だけど今はあまり仲がいいとは言えない状態だ。これは喧嘩とは少し違っているからややこしい。
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