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あの、私、最近とある人の顔を見ると、呼吸が止まりそうになるんです。それが笑顔だったりすると、もう心臓が痛くて痛くて、たまらないんです。きゅうって締め付けられて、泣いてしまいそうになるんです。それで、ずっとずきずきするんです。その人に触れられたりすると、もう本当にだめで、涙を堪えるのに必死で、痛くて、痛くて、どうしようもなくて。…でも、全然、嫌じゃないんです。むしろ、ずっとその人のこと見ていたいし、触れられてる瞬間が永遠だったらいいのにって、思ったりするんです。むくむく、あったかいような気持ちが、胸に広がったりするんです。あの、これってやっぱり、
「なんだぁ」
私の話を聞いて、久石先輩は再び、笑顔になった。きゅう、私の心臓の奥がまた、締まる。
「野上、それは、恋ってやつだよ」
コイ。
発せられた言葉が、久石先輩の声で、耳に貼りつく。
恋。
「…やはり、そうですか」
うんうん、と嬉しそうに頷かれ、頑張れ、と愛しげに頭を撫でられ、死んでしまうかと思った。心臓の痛みで。涙が本当にひとつぶ、ほっぺたにこぼれた。私はそれをうつむいて、ごまかした。
では久石先輩、やはり私は、貴方のことを、
<好きになったみたいです fin>
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