episode256 二重取りの愛

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「僕ね、すごく疲れてるの」 「おい!」 薫を部屋へ引き込むのに成功すると 僕は迷いなく着ていた服を脱ぎ捨てた。 「勘違いしないで。寝間着に着替えるだけ」 リネンのネグリジェシャツに袖を通す僕を 薫はあからさまホッとした顔で見つめる。 「薫お兄様、調子はいいの?今度のお薬は幻覚も見ないみたいね」 「俺の話はいい。用がないならもう行くぞ」 「そんな、冷たいこと仰らなくてもいいじゃないですか」 僕は部屋の明かりを消し 枕元のスタンドだけ灯すと子供みたいにベッドにダイブした。 「話し相手なら何も俺じゃなくても――いるじゃないか2人もおまえを待ってる変人が」 「そうですね。でもこれは2人には話してないことだから——」 言うと僕はベッドサイドの引き出しから お遊び用に持っている赤い縄紐を取り出した。
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