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「僕ね、すごく疲れてるの」
「おい!」
薫を部屋へ引き込むのに成功すると
僕は迷いなく着ていた服を脱ぎ捨てた。
「勘違いしないで。寝間着に着替えるだけ」
リネンのネグリジェシャツに袖を通す僕を
薫はあからさまホッとした顔で見つめる。
「薫お兄様、調子はいいの?今度のお薬は幻覚も見ないみたいね」
「俺の話はいい。用がないならもう行くぞ」
「そんな、冷たいこと仰らなくてもいいじゃないですか」
僕は部屋の明かりを消し
枕元のスタンドだけ灯すと子供みたいにベッドにダイブした。
「話し相手なら何も俺じゃなくても――いるじゃないか2人もおまえを待ってる変人が」
「そうですね。でもこれは2人には話してないことだから——」
言うと僕はベッドサイドの引き出しから
お遊び用に持っている赤い縄紐を取り出した。
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