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「これで解けないとは思うが——逆に解きたい時、おまえどうすんだ?」
初めて人を縛り上げたのだろう。
薫は複雑な顔で己の指先を見ている。
「朝起きたら薫お兄様が解きに来て下さればいいんだよ」
僕は笑顔で答えた。
「お兄様――どうせそんなに長く眠らないでしょう?」
無垢な白い肌にバラ色の唇が咲いてる。
キスをせがみたいとこだけどそれは無理な相談だろう。
「分かった。電気を消すぞ。お休み」
薫はぶっきらぼうに答えて
それでも僕の足元に毛布を掛けて行ってくれた。
「お休みなさい――」
足元が温かくなりざわついた心がようやく穏やかになった頃。
僕は緩やかに眠りへと落ちて行った。
次に目を開いた瞬間。
何が起こっているかなんて何も知らず——。
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