episode256 二重取りの愛

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「やだ、なんでこんなことっ……! 立て続けに刺激を与えられ 我慢できずに僕は大きく背中を反らせる。 頭がはっきりしてくるにつれ 僕の身体を支配しているのが誰なのか分かってきた。 「求めたじゃないか……こうしてくれと」 それでも信じられなかった。 まだ夢を見ているのかもしれないと思った。 「それなのに、君……帰って行ったりして……」 リアルな夢。 執拗な甘い責め苦。 「九……条さん……?」 淡いバラの香り。 月明かりに浮かび上がるシルエットに僕は言葉を飲み込んだ。 「そうだよ……僕だ……まだこの家の鍵を持ってる」 自嘲気な笑いを含んだ声で 「君を縛る権利はなくても」 九条さんは赤縄で縛られた僕の手を撫でた。
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