episode256 二重取りの愛

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「九条さん……ごめんなさい……」 「何が?どうして謝るの?」 彼は手際よく僕の下着を脱がすと ほんのりとヴィーナスのような微笑みを湛えて言う。 「僕がしたいからこうしたのに、どうして君が謝るの?」 「ンッ……」 言い訳をする前に熱い唇が僕の唇を塞いだ。 感じきった身体はキス一つでもう一度脈打つ。 「聞いて……僕はっ……」 「いいから」 それ以上言わせるつもりはないらしい。 温かい手がベッドで汗ばむ僕の身体をすっぽり抱くと。 「あぁ……」 「ただ感じて——僕を感じてくれたらいいから」 指が這う通り——そして彼の望み通り 僕は身体をしならせすぐにうっとりと細い嬌声を洩らした。 「気持ちいい?」 「うん……」 心地よい愛撫に徐々に腰が浮き上がる。 その瞬間を九条さんは捕まえた。
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