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全て——。
ここがどこで
周りには誰がいて
僕らがどんな歪な形で愛し合っているか。
そんなこと全てだ。
「僕、またイっちゃうかも……」
「いいよ。何度でもよくしてあげる」
互いが液状になるほど求め合い
愛の泉のように溶け出してしまった僕らは。
忘れていた。
「和樹――」
この部屋を誰か訪ねてくる可能性など——。
「ン……!」
九条さんは思わず僕の口を押えた。
「起きてるんだろ?灯りが洩れてる」
長い廊下を歩いてきた足音さえ聞こえなかった。
部屋のドアを小さくノックする。
征司だった——。
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