episode256 二重取りの愛

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全て——。 ここがどこで 周りには誰がいて 僕らがどんな歪な形で愛し合っているか。 そんなこと全てだ。 「僕、またイっちゃうかも……」 「いいよ。何度でもよくしてあげる」 互いが液状になるほど求め合い 愛の泉のように溶け出してしまった僕らは。 忘れていた。 「和樹――」 この部屋を誰か訪ねてくる可能性など——。 「ン……!」 九条さんは思わず僕の口を押えた。 「起きてるんだろ?灯りが洩れてる」 長い廊下を歩いてきた足音さえ聞こえなかった。 部屋のドアを小さくノックする。 征司だった——。
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