episode256 二重取りの愛

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重症だった。 この一件から僕の睡眠障害はますますひどくなった。 九条さんは何も言わなかった。 僕を責めることも征司との約束に口を出すこともなかった。 反対に征司もまた——何も言わなかった。 気の利いた彼氏みたいに興味のない芝居に付き合い、夜は愛と呼べなくもないやり方で僕を抱いた。 僕はと言えば。 平然を装い2人の間を行き来して 夜更けになると花を食らった。 さすがに心身とも限界だった——。 その頃には僕はこう思うようになっていた。 「で――2人は全て分かっていて芝居を打ってるって言うの?」
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