episode256 二重取りの愛

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戸惑いながらでも案外大胆に。 「ンッ……!」 僕の口元を綺麗な手で押さえ 九条さんは心臓に近い方の突起を口に含んだ。 痛いくらい強く吸ってから、すぐに優しく舌先で溶かされる。 「ア……ンンッ……」 彼の指の合間から、海の泡のような声が微かに洩れた。 その間、時間にしてたった数秒だ。 しかし頭の芯まで脈打つような、突き抜ける快感が僕を支配する。 「いけないな。君のペースにのせられてしまって僕は……」 淫らなセーラーシャツを几帳面に正すと、九条さんは周りを気にしながら立ち上がる。 頬にうっすら赤みが差し、わざと怒ったような顔をしてるけど馬鹿みたいに綺麗だ。 「ねえ……」 天井を睨んでいる彼の手を取って僕は囁いた。 「もう我慢できないよ……」
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