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そこに描かれていたのは、まっくらな空間に、ずらっと不気味に浮かんだ赤い目玉のような物体でした。
たしかに、その絵には、おそれのような感情が読み取れたのですが、どこかその少年の本来持っているやさしさのかけらみたいなものも、感じたのです。
ねえ、きみ、人間自体がこわいのかな。
私はその少年にいくつか質問をします。
ううん、だったらお兄ちゃんとも話せないでしょ?
ああ、そうか。そうだね。きみ賢いな。あ、じゃあ、人の目がこわいのかな。
はは。鳥じゃあないんだから。たしかに、こわい目をするようなのは苦手だけど、だれかの目がきらいなわけじゃないよ。とくにお兄さんのようなやさしい目だったら、目を見つめるの、好きなくらいだよ。
そういう少年の目のほうが、なんのにごりもないやさしい目をしていました。
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