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「やっと君の行動パターンを掴んだよ。東の魔女さん」
「お、うじ……」
校舎裏庭の影の影。
誰も通りかかりもしない暗がりで一人でお昼を食べている時だった。
太陽の輝きを背負って王子が現れる。
私はお弁当そっちのけで、地面にひれ伏した。
「再び貴方の御前に現れました事をお許しください。今世の私は害なく、慎ましく生きております。どうか、どうかお見逃しくださいませ」
「良かった。君は前世の記憶があるんだね」
「はい。私は前世の記憶が……」
ひれ伏し反射的に応えていた私は、王子の言葉の意味がわかってきて顔を上げる。
「私はって、他の方も前世の記憶があるんじゃないんですか?」
「何言ってんの?普通ないから」
「そんな!だって、みんな貴方を『王子』とお呼びしているではないですか!?」
「そーれーはー、俺が美しい顔立ちと優雅な立ち居振る舞いで『王子』を演出してるからだよ」
「な、なるほど……」
「……」
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