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人ごみを追いかけたけど。
友人だった、あの時までは。
だってあの人が悪いんじゃない。ずっとそう思ってきた。けれど、今、あの人をここで、人ごみの中で見つけて、気づいてしまった。気づいたというほど大げさではなかったかもしれない。その考えに少し、ほんの少しだけ疑問を持ってしまった。きっと見つけなければそんなことは思わずに、私は私の中で生きて行けたのに。
だから聞きたかった。聞きたいから追いかけた。でもあの人は人ごみの中をすいすい歩いて、それに対して私はいつもより人ごみの中を歩くのが下手で。
ついに追いつけなかった。だから、聞くこともできなかった。そのせいで、私はこれと生きていかなければいけない。このほんの少しのもやもや、疑問と。そのことが私を不幸にするかもしれないしその可能性が高いけれど、無視はできない。そこまで含めての私になってしまったから。
これはきっかけ。私は正しいわけではない。間違っていたわけでもない。けれどこうなってしまった。もうどうしようもない。どうしようもなくても、それでも。
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