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俺の秘部にローションを垂らし、指を沈めていく。
控えめに、気遣うようにゆっくり押し進め、肉壁をまさぐっていく。
(まあ、こんなもんか……)
その手つきは、いつもと変わらなかった。AV男優に直接指導を受けたと言うから少なからず期待はしていたけれど、特に代わりばえしない。
中をうねうねと動き回る指。ただそれだけだ。
ローションが潤滑油になり、指が押し進められるたびにグチュグチュと淫猥な音をたてる。しかしそれも、いつも通り。
気が付けば指は三本入っていた。
少し曲げた指が、なにか探るように別々に中で動いている。
(変な動き……)
ただ、その手つきはどこまでも優しかった。
無理に激しく動かすこともなく、腸壁をこねるように、ほぐすように触れるだけだ。
それに、田中の視線も真剣そのもので、うれしい。
(いいのかな……。いつもなら、すぐに入れたがるのに……)
そのとき、指がある部分に触れると電流のようなものが走った。
「ひゃっ」
自分でも聞いたことのないような甲高い声を発してしまう。
田中も驚いて動きを止めてしまった。
(う、嘘……今、なに? 俺……)
田中はなにも聞かず、再び指を動かし始める。
わざと先ほどのポイントをそらすようにしてまさぐる。そうして徐々に近づいてくる。
一瞬だったが全身が痺れるような感覚を思い出し、期待してしまう。
しかし、指は思うように近づいてはくれない。もったいぶるように、はたまた俺をじらして遊んでいるかのように近づいたと思えば遠くへいき、指を引き抜かれる。
「ぁっ……」
またしても、自分の意志とは関係なく声が漏れてしまう。
(俺……反応してる……)
それにわずかだが、小さな飾り物のような陰茎が反応していた。
だらしなく涎のように蜜を滴らせている。
田中もそれに気づいているようであったが、あえて指摘しないようであった。
ただひたすら、秘部を愛撫し続ける。
次第にそのじれったい愛撫にすら、甘いうずきを感じてしまう。
腸壁が指で擦られるたびに、ぞりぞりとした不思議な感覚にとろ火で炙られるようなもどかしさがある。気が付くと、足の裏に汗をかき、指に力が入っていた。
「うぅ……っんぅ……」
気持ちのよいポイントに触れて欲しくて、腰を揺り動かしてしまう。
ふと、田中の指が止まる。
「槙ちゃん、気持ちいい?」
小さな陰茎は、反応しきっている。
聞かなくても火を見るより明らかだった。
だからこそ、言わせたいのだろうと思った。
それに、正直に答えなければきっと続きをしてもらえないのだということも。
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