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「うん……なんかよくわからないけど、変な感じ……。胸の奥がぞくぞくして……もっとして欲しくなる」
ぼんやりと田中を見つめてほほ笑むと、彼の頬が何となく赤く色づいているように見えた。
「そうか、よかった」
納得したように、指の動きが再開される。
「あっ……んんっ……」
次はじらされなかった。
好きなところを好きなだけ攻められる。ちょうど、陰茎の裏側、しこりのような部分をノックするように指先で攻め立てられた。
「あっああっ……そこ、ヤバい……あっぁぁ……」
目の前が真っ白になる。
さっきよりも強い電流のような快感が体を駆けめぐっていった。
生まれて初めて達した感覚に、耐えきれなくて何度も激しく肩で息をした。
「な……なんなの……」
俺は口走っていた。
自分の意識とは別に、涙も流れていた。
「田中さん、なんなの? なんで俺にこんなことすんの……?」
感情があふれ出していた。
「いつもみたいに穴に突っ込んで腰を振ればいいじゃん……。なんでこんなに、必要以上のことするの……? 前だって……」
「前……?」
首を傾げた田中に、上体を起こして睨みつけた。
「エッチしながら、愛してるって言った! どうしてあんなこと言うの? どうせお金だけの関係なんだからさぁ! あんなこと言わなくてもいいじゃん! じゃなきゃ、俺、期待しちゃうだろ!」
最後には泣きすぎて、グズグズになっていた。
こんなにも取り乱したのは初めてだ。高校でいじめられたときも、ただジッと耐えていた。泣かなかったし、怒らなかった。
でも、田中の言動は耐えられなかった。
優しさが、傷に沁みた。
顔を見ただけでよろこばれたり、想われたりすることがなかったからどうすればいいかわからなかった。
不感症なんて、放って置いてほしかった。わざわざ、俺のために努力するなんて……思ってもみなかったのだ。
バカみたいに号泣する俺を、田中は優しく抱きしめてくる。
「期待してくれていいんだよ」
「やめてよ……。誰にだってそんなふうに言ってるくせに」
俺は鼻をすすりながら言った。
こんなに優しいのだ。
誰にだって同じように言っているんだろう。
「そんなことないよ」
田中は優しい声色で言う。
「俺にそんなに優しくしても無駄だよ。なにも返せないもん。かわいくないし、胸ないし、チビだし、ちんちん小さいし……」
「そんなの関係ないよ」
田中はそう言いながら僕の頭に頬ずりした。
声には少し明るさが混じっている。俺が黙っていると田中は言葉を続けた。
「槙ちゃんのことが好きだよ。男の娘だからじゃない。女とか、男とか、そんな性別を抜きにして、君が好きなんだ。セーラー服を指定するのは君によく似合うからだ。この控えめな胸も、小さな身長も、なにもかも愛らしいよ」
田中の言葉はくすぐったかった。
今まで味わったことのない愛情を、突然たくさんもらったようで戸惑っていた。
どう返していいのかわからない。
「あの……当たってる」
俺はムッとして、田中に言う。
「え?」
キョトンとする田中に詰め寄った。
「さっきから、いいこと言ってるつもりかもしれないけど、ちんちん当たってる!」
「ご、ごめんね。好きな子を抱きしめてると、どうしても反応してしまうみたいで……、わぁっ」
話している途中で田中を思い切り押し倒す。
そうして、田中のパンツをずらすといたずらっ子っぽく笑って見せた。
「田中さん、ナンパはいいから続きしようよ。奥がうずいて仕方ないんだ」
そのまま、引きずり出した陰茎を自分の秘部にあてがった。
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